ヤンキースは鈴木誠也を手に入れようとするのか。外野両翼にはパワー・ヒッターが揃うが…
鈴木誠也(広島東洋カープ)を手に入れようとする、メジャーリーグの球団は、少なくないはずだ。もっとも、ニューヨーク・ヤンキースがそこに含まれるかどうかについては、疑問が残る。
現時点のメンバーで外野トリオを組むとすれば、左から右へ、ジョーイ・ギャロ、アーロン・ヒックス、アーロン・ジャッジになるだろう。今シーズン、ジャッジは39本塁打と出塁率.373、ギャロは38本塁打と出塁率.351を記録した。来シーズンの開幕時点の年齢は、29歳と28歳だ。一方、ヒックスは5月に左手首を痛め、32試合の出場にとどまった。年齢は32歳。今月初めに「タイガー・ウッズの姪と婚約したヤンキースの外野手は、どれくらいの選手なのか」で書いたとおり、5ツール・プレーヤーながら、故障が多い。
ギャロとジャッジも、センターを守ったことはあるが、「本職」ではない。ジャッジの定位置はライトだ。ギャロも、テキサス・レンジャーズではライトを守っていて、夏にヤンキースへ移ってからは、レフトを定位置とした。
今シーズン、センターとして90試合以上に先発出場したブレット・ガードナーは、オフにFAとなった。契約についていた、230万ドルの選手オプションと715万ドルの球団オプション(解約金115万ドル)を、ガードナーもヤンキースも、それぞれ破棄した。これまでヤンキース一筋に過ごしてきただけに、再契約もあり得るが、今シーズンの成績と38歳の年齢を考えると、レギュラーとして期待するのは無理がある。
マイナーリーグには、センターを守るトップ・プロスペクトのジェイソン・ドミンゲスがいるものの、まだ、AAAどころかAAでもプレーしていない。すべてが順調にいっても、メジャーデビューは2023年だろう。年齢は、来年2月に誕生日を迎えても19歳だ。
ということで、今オフ、ヤンキースは外野手を欲している。けれども、求めているのは、レフトやライトではなく、センターを守れる外野手だ。これまで、鈴木はライトを定位置としてきた。センターとしてやっていけるかどうかはさておき、実績という点において、ヤンキースの需要には当てはまらない。
ヤンキースのターゲットは、オークランド・アスレティックスからFAになった、スターリング・マーテイではないだろうか。トレードにより、ケテル・マーテイ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)やブライアン・レイノルズ(ピッツバーグ・パイレーツ)を獲得しようとするかもしれない。バイロン・バクストン(ミネソタ・ツインズ)もセンターを定位置とするが、こちらはヒックスと同じく、故障が少なくない。
ただ、ヤンキースが鈴木を手に入れようとする可能性は、ゼロではない。来シーズンが終わると、ジャッジとギャロは揃ってFAになる。どちらか一方と延長契約あるいは再契約を交わしても、レフトかライトに空きが生じる。鈴木との契約は、広島東洋に支払うポスティング費を含めても、ジャッジかギャロをつなぎ止めるのに必要な金額より安く済むはずだ。
今シーズンの開幕戦でレフトを守り、本来ならレギュラーになっているはずのクリント・フレイジャーは、今シーズンだけでなく、度重なる故障に泣かされてきた。年齢は、鈴木と同じ27歳。ここからの開花もなくはないが、ヤンキースは11月19日にフレイジャーを40人ロースターから外した。これは、ルール5ドラフトの対象となる選手を40人ロースターに入れ、指名されないように「プロテクト」するためだ。フレイジャーは、ウェーバー公示中に獲得を申し出る球団がなければ、マイナーリーグ降格かFAになるかを選択する。
なお、今オフのFA市場に出ている外野手については、こちらで書いた。