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大谷翔平が「塗り替えなかった」日本人選手のシーズン記録。打点は松井秀喜、敬遠四球はイチローが1位

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、イチロー、ストンパー、松井秀喜 JULY 14, 2003(写真:ロイター/アフロ)

 今シーズン、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、野手として、日本人選手のシーズン記録をいくつも塗り替えた。46本塁打やOPS.965など、これまでの記録を大きく上回ったスタッツも少なくない。

 ホームラン1本当たりの11.7打数は、2018年に自身が記録した14.8打数/本(22本塁打)を更新した。その前の日本人選手のシーズン記録(シーズン10本以上)は、松井秀喜(2009年)の16.3打数/本(28本塁打)。31本塁打の2004年は、18.8打数/本だった。

筆者作成
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 大谷が日本人選手のシーズン記録に遠く及ばなかったスタッツは、打者としてのタイプの違いによるものが多い。例えば、58本の単打(シングル・ヒット)は、イチロー(2004年)の225本と比べると、約4分の1だ。また、今シーズンだけでなく、大谷は過去3シーズンも犠打を記録していない。ちなみに、松井稼頭央(2009年)の16犠打は、投手を含めても、日本人選手のなかで最も多い。日本人投手のシーズン最多犠打は、前田健太(2019年/当時ロサンゼルス・ドジャース/現ミネソタ・ツインズ)の13本だ。この年の前田の犠打は、代打として記録した1本を含んでいる。

 一方、大谷の318塁打は、イチロー(2004年)の320塁打とほとんど変わらないが、こちらも内訳は大きく異なる。イチローは単打、大谷は長打が多い。念のために説明すると、単打は塁打1、二塁打は塁打2、三塁打は塁打3、ホームランは塁打4として計算する。318塁打や320塁打は、その合計だ。大谷の長打80本も、松井秀喜(2005年)の71本とかけ離れているわけではないものの、長打の半数以上を二塁打(45本)が占める松井に対し、大谷はホームラン(46本)が半数以上だ。

 大谷の100打点は、日本人選手のシーズン5位に位置する。上にいるのは、いずれも松井秀喜だ。2003~05年と2007年に、それぞれ103打点以上を挙げた。打点の場合は、今後、エンジェルスが強くなるか、大谷が別のチームでプレーすれば、記録更新もありそうだ。

 なお、大谷の96四球は日本人選手のシーズン新記録ながら、それまで最多だった福留孝介(2009年)とは3四球しか違わず、四球率は大谷より福留がわずかに高い。敬遠四球を除くと、2009年の福留は90四球、今シーズンの大谷は76四球となり、2人の間には、2004年に86四球(88四球-2敬遠四球)の松井秀喜が位置する。

 日本人選手が記録した、シーズン盗塁、二塁打、三塁打、長打、敬遠四球については、こちらで書いた。

「イチロー以外の日本人選手で「シーズン20盗塁以上」を記録したのは…。大谷翔平はここまで14盗塁」

「シーズン30本以上の二塁打」を記録した日本人選手は、松井秀喜とイチローと…。大谷翔平はあと6本

「イチローと大谷翔平の他に「シーズン三塁打5本以上」の日本人メジャーリーガーは誰と誰と誰と…。」

「「シーズン長打50本以上」の日本人選手。大谷翔平は松井秀喜の最多記録まで1本」

「大谷翔平の敬遠四球がア・リーグ最多に並ぶ。シーズン7度目。日本人選手でこれより多く歩かされたのは…」

 今シーズンの大谷が記録したスタッツのリーグ順位、野手編と投手編は、こちら。

「大谷翔平の各スタッツはリーグ何位!? 本塁打は3位、三塁打は1位、長打は2位、三振はワースト4位…」

「投手・大谷翔平の成績。防御率は120イニング以上のリーグ8位、奪三振率は5位、与四球率は36位…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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