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野手から投手に転向後、再びメジャーデビューして100マイル以上の速球を投げたのは史上初!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
右から3人目がアンソニー・ゴース Sep 20, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月20日、アンソニー・ゴース(クリーブランド・インディアンズ)は、5年ぶりにメジャーリーグの試合に出場した。これは、復帰よりも、再デビューと形容すべきかもしれない。2012~16年にメジャーリーグでプレーした当時は、外野手だった。現在は、リリーフ投手だ。

 ダブルヘッダーの2試合目に4回表からマウンドに上がり、1.2イニングを投げて1点を取られたが、スタットキャストによると、39球のうち21球は99マイル以上を記録した。100.8マイルが最も速く、100マイル以上は8球を数えた。

 野手から投手に転向し、100マイル以上を記録した投手は、2008年以降の「ピッチ・トラッキング・エラ」に何人かいる。例えば、ケンリー・ジャンセン(ロサンゼルス・ドジャース)もその一人だ。だが、メジャーデビュー前に野手から転向した投手ではなく、野手としてメジャーデビューした後に転向した投手は、そのなかにいるのだろうか。

 ゴースだけではないかと予想し、調べたところ、違っていた。ハビー・ゲラ(サンディエゴ・パドレス)がそうだ。遊撃手だったゲラは、2019年5月にメジャーデビューし、13試合に出場した。翌年のスプリング・トレーニングも、野手として臨んだ。けれども、開幕前に球団から投手転向を打診され、それを受け入れた。そして、2019年9月に投手として再デビューした。今シーズンは故障に見舞われ、メジャーリーグでは投げていないが、2019~20年に投げた計369球中20球が100マイル以上。最速は101.3マイルだ。見落としがなければ、2008年以降、ゴースは2人目ということになる。

 ゲラは25歳の右投手、ゴースは31歳の左投手。ゲラの速球はシンカーが多く、ゴースは4シームだが、そこにスライダーを交える点は共通する。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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