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2チームの合計で打撃タイトルを獲得した選手たち。今年のナ・リーグは首位打者と打点王に本塁打王も!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
アダム・デュボール(アトランタ・ブレーブス)Aug 27, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月20日を終えた時点で、トレイ・ターナー(ロサンゼルス・ドジャース)は打率.316を記録し、アダム・デュボール(アトランタ・ブレーブス)は107打点を挙げている。どちらのスタッツも、ナ・リーグの1位に位置する。それぞれの2位は、打率.315のホアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)と101打点のノーラン・アレナード(セントルイス・カーディナルス)だ。

 トレード・デッドラインの7月30日に、ターナーはマックス・シャーザーとともにナショナルズからドジャースへ移った。移籍前と移籍後の打率は.322と.302だ。ターナーと同じ日に、デュボールはマイアミ・マーリンズからブレーブスへ移籍した。こちらは、68打点と39打点だ。デュボールの場合、ブレーブスへ戻ったという言い方もできる。2018年の夏から昨シーズンが終わるまで、ブレーブスでプレーしていた。

 シーズン途中に移籍する選手は多いが、1シーズンに2チームでプレーして、その合計のスタッツで打撃タイトル――首位打者、本塁打王、打点王――を獲得した選手は少ない。しかも、久しく途絶えている。ナ・リーグとア・リーグの球史において、打撃タイトルを手にしたのは、1951年のア・リーグ二冠王、33本塁打&129打点のガス・ザーニアルが最後だ。この年の4月末に、ザーニアルはシカゴ・ホワイトソックスからフィラデルフィア・アスレティックスへ移った。打点が公式記録となった1920年以降に限ると、打点王はザーニアルだけだ。なお、33本のホームランは、すべて移籍後に打った。

 ちなみに、1902年のア・リーグ首位打者は、現行の規定打席以上を対象とすると、ナップ・ラジョイではなくエド・デラハンティとなる。ラジョイは規定打席に達しておらず、不足分を凡退として計算すると、デラハンティの打率を下回る。だが、当時の対象は、チームの試合の60%以上に出場した選手だった。

筆者作成
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 また、デュボールはマーリンズで22本のホームランを打った。ブレーブスへ移ってからは15本だ。合計37本は、ナ・リーグ1位のフェルナンド・タティースJr.(サンディエゴ・パドレス)と2本差の2位。70年前のザーニアルと同じように、二冠王となるかもしれない。オールスター・ブレイクを迎えた時点の19本は、7位タイに位置し、1位のタティースJr.に9本差をつけられていた。

 一方、ターナーはナショナルズで21盗塁、ドジャースで9盗塁を記録している。合計30盗塁はナ・リーグで最も多く、2位のタティースJr.とトミー・エドマン(カーディナルス)とは5盗塁の差がある。2チームの合計で盗塁王は、2013年にナ・リーグ最多の46盗塁を記録したエリック・ヤングJr.が最後なので、それほど遠い過去ではない。とはいえ、人数は決して多くない。1チーム目で盗塁ゼロの選手を含め、ヤングJr.が6人目だ。

筆者作成
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 この6人のうち、1951年のミニー・ミノーソは、ア・リーグ2位の打率.326を記録した。ミノーソがクリーブランド・インディアンズからホワイトソックスへ移ったのは、ザーニアルと同じトレードだ。三角トレードにより、ミノーソとザーニアルを含む7人が移籍した。

 1999年のブライアン・ハンターは、1951年のミノーソと今シーズンのターナーとは対照的。44盗塁こそア・リーグ最多ながら、打率.232はア・リーグで規定打席に到達した80人のワースト1位だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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