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「シーズン三振+奪三振=300」を記録するのは大谷翔平が初めてではないけれど…

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Sep 1, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、打者として162三振を喫し、投手として127三振を奪っている。その合計は289だ。シーズンが終わるまでには、300に達するだろう。

 シーズン三振+奪三振=300以上は、これからそうなる大谷が初めてではない。例えば、2019年にヒューストン・アストロズでチームメイトだったゲリット・コール(現ニューヨーク・ヤンキース)とジャスティン・バーランダー(アストロズ)は、それぞれ、331と301を記録した。

 もっとも、その内訳は、大谷とはまったく異なる。コールは5三振と326奪三振、バーランダーは1三振と300奪三振だ。大谷が記録している三振と奪三振は、数こそ多少の差があるものの、その割合は非常によく似ている。打席の30.9%で三振を喫し、対戦した打者の29.9%から三振を奪っている。

 また、合計300以上ではなく、三振も奪三振もそれぞれ100以上となると、両方を合わせて300未満であっても、今シーズンの大谷以外にはいないのではないだろうか。例えば、ベーブ・ルースの場合、合計のシーズン最多は1916年の193(23三振と170奪三振)。二刀流ではなく、投手だった時だ。キャリアを通して、ルースは三桁の三振を喫したシーズンがなかった。

 大谷と比べてルースの三振が少ないのは、時代によるところが大きい。1938年にビンス・ディマジオ――ジョードムの兄――が134三振を喫するまで、1シーズンに130三振以上を記録した打者はいなかった。ルースが最後にプレーしたのは、その3年前の1935年だ。リーグで最も多くの三振を奪った「奪三振王」のシーズンはないが、ルースの「三振王」は5度を数える。

 なお、大谷を三振に仕留め、大谷に三振を喫した選手は、見落としがなければ、まだ現われていない。その1人目は、ナ・リーグの投手、もしくは登板した野手になるだろう。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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