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「ショウタイム」は大谷翔平だけじゃない!? 5年ぶりに戻ってきた選手が「サヨナラ満塁本塁打」を打つ

宇根夏樹ベースボール・ライター
背番号「23」がトラビス・ショウ Aug 23, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

「ミラータイム」と言えば、NBAのレジー・ミラーが有名だが、クリーブランド・インディアンズ時代のアンドルー・ミラー(セントルイス・カーディナルス)のパフォーマンスも、そう称された。ブルペンから登場したミラーは、ファイヤーマンとして、何度もチームのピンチを救った。

「ショウタイム」も、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)のパフォーマンスに限定する必要はないはずだ。少なくとも、この一打は、そう呼ぶに値するのではないだろうか。8月23日、4対4の11回裏、無死満塁。外野フライでもサヨナラ勝ちとなる場面だが、トラビス・ショウ(ボストン・レッドソックス)は、フルカウントからのグランドスラムで試合を終わらせた(写真)。ショウによる劇的な幕切れ。まさに「ショウタイム」だ。

 先々週まで、ショウはレッドソックスではなく、ミルウォーキー・ブルワーズにいた。6月上旬に左肩を脱臼し、7月下旬からAAAでリハビリ出場を始めたが、8月半ばにウェーバーにかけられ、そこでレッドソックスが獲得を申し出た。

 離脱するまでの56試合で、ショウは8本のホームランを打っていたものの、打率と出塁率は.191と.279だった。一方、レッドソックスでは、一塁を守るボビー・ダルベックが、こちらも8月14日までの96試合で14本塁打ながら、打率と出塁率は.233と.284と低迷していた。ここ数年、ショウは不振が続いている。だが、2017~18年の両シーズンは、それぞれ、31本塁打と出塁率.349、32本塁打と出塁率.345を記録した。ショウは左打者、ダルベックは右打者だ。

 また、ショウがレッドソックスでプレーするのは、これが初めてではない。2016年のオフにブルワーズへトレードされるまで、ショウはレッドソックスにいた。10年前のドラフトで、レッドソックスから9巡目・全体292位に指名され、2015年にメジャーデビューした。今回のサヨナラ満塁本塁打は、レッドソックス復帰から5打席目。レッドソックスの選手として打った、5年ぶりのヒットとなった(レッドソックスを去った後、ずっとブルワーズにいたのではなく、ブルワーズ→トロント・ブルージェイズ→ブルワーズと動いた)。

 現在、レッドソックスは、ポストシーズンへ進めるかどうかのボーダーライン付近にいる。ショウの出場機会は多くないだろうが、レッドソックスとしてはいつも以上に「ショウタイム」が欲しい状況だ。

 ちなみに、レッドソックスのアレックス・コーラ監督は、選手時代、ショウの父であるジェフ・ショウとチームメイトだった。1998年から2001年まで、彼らはロサンゼルス・ドジャースでともにプレーした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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