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「ホームランを打って完投した投手」は誰が最後!? 大谷翔平は40号&8イニング。90球で降板

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Aug 18, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月18日、「1番・投手」として出場した大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、8回表にシーズン40本目のホームランを打ち、その裏のデトロイト・タイガースの攻撃を3人で終わらせた。この時点で、大谷はホームランによる1点しか取られておらず、投球数は90だった。メジャーリーグ初完投も、可能なように思えた。けれども、9回裏のマウンドには、大谷ではなくライセル・イグレシアスが上がり、2点差を保ったまま、シーズン27セーブ目を挙げた。

 メジャーリーグ1年目の2018年5月20日に、大谷は110球を投げている。今シーズンも、95球以上は4登板。6月23日は105球、7月26日と8月12日は99球を投げた。ただ、それまでに最も長いイニングを投げ、最も多くの打者と対戦したのは、2018年5月20日の7.2イニングと打者30人。この日の8イニングは自己最長を更新し、打者28人は2番目に多い。また、前日も前々日も、イグレシアスは登板していなかった。

 MLB.comのレット・ボーリンジャーらによると、DH制が始まった1973年以降、8イニング以上を投げた試合でホームランを打ったア・リーグの投手は、大谷が4人目だという。その前の3人は、1997年6月30日のボビー・ウィット、2006年6月17日のクリス・ベンソン、2006年6月18日のジョン・ガーランドだ。いずれもインターリーグで、DHのないナ・リーグのチームのホーム・ゲーム。3人とも完投はしておらず、ガーランドは9回裏のマウンドに上がったが、最初の2人にヒットを打たれたところで降板した。

 ただ、ナ・リーグに目を向けると、投手がホームランを打って完投は、それほど昔のことではない。今シーズンはここまで皆無ながら、2019年5月2日にノア・シンダーガード(ニューヨーク・メッツ)が記録している。昨シーズンはナ・リーグもDH制の「ユニバーサルDH」だったので、実質的には1シーズン前だ。2010~19年の「直近10シーズン」に、完投した試合でホームランを打った投手は、見落としがなければ、シンダーガードを含めて10人を数える。

筆者作成
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 10人中6人は、完封を記録した。なかでも、シンダーガードは、両チームで唯一の得点を挙げ、二桁の三振を奪った。イライアス・スポーツ・ビューローによると、ホームランを打って1対0の完封勝利は、1983年6月17日のボブ・ウェルチ以来だという。そこに奪三振10以上も加えると、1959年5月1日のアーリー・ウィン以来となる。

 なお、投手・大谷のホームランは、4月4日に続く2本目だ。今シーズン、大谷の他には、ワスカー・イノーア(アトランタ・ブレーブス)とエイドリアン・ハウザー(ミルウォーキー・ブルワーズ)も、2本のホームランを打っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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