今シーズン、アダム・フレイジャーは、2チームでプレーした首位打者になるかもしれない。

 これまではピッツバーグ・パイレーツにいて、7月25日の試合も「1番・二塁」として出場した。けれども、ここからは、サンディエゴ・パドレスのユニフォームを着てプレーする。このトレードについては「OPS.813の二塁手を擁するパドレスがOPS.836の二塁手を獲得した理由。どちらも左打者」に書いた。

 パイレーツとパドレスは、どちらもナ・リーグのチームだ。フレイジャーがそれぞれのチームで記録した成績は、ナ・リーグの個人成績ランキングにおいて、合算される。移籍の時点で、フレイジャーの打率.324はリーグ2位。トップにいるニック・カステヤノス(シンシナティ・レッズ)とは5ポイント(5厘)差だ。3位のトレイ・ターナー(ワシントン・ナショナルズ)とも5ポイントしか離れていないが、フレイジャーは首位打者に手が届く位置にいる。

 しかも、カステヤノスは7月下旬に故障者リストへ入った。右手首に死球を受け、その直後はわからなかったものの、数日後、骨にひびが入っていることが判明した。復帰までは数週間を要する見込みだ。万が一、離脱が長引けば、規定打席に届かない可能性もある。

 その場合も、首位打者を獲得することはできる。「規定打席に届かなくても首位打者にはなれるが、規定投球回に達しないと最優秀防御率のタイトルは獲れない」で書いたとおり、前例もある。ただ、規定打席に足りない分の打席をすべて凡退として加えて計算するので、実際よりも打率は下がる。

 ベースボール・リファレンスによると、2チームで記録した成績の合計により、首位打者を獲得した選手は、過去に3人いる(3チーム以上はいない)。1902年にア・リーグで打率.378を記録したナップ・ラジョイ(フィラデルフィア・アスレティックス/クリーブランド・ブロンコス)、1932年にア・リーグで打率.367のデール・アレクザンダー(デトロイト・タイガース/ボストン・レッドソックス)、1947年にナ・リーグで打率.363のハリー・ウォーカー(セントルイス・カーディナルス/フィラデルフィア・フィリーズ)がそうだ。

 また、彼らとは意味合いが異なるが、1990年にナ・リーグで打率.335のウィリー・マギーも、2チームでプレーした首位打者だ。この年の8月下旬に、マギーはナ・リーグのカーディナルスからア・リーグのアスレティックスへ移った。移籍前は542打席で打率.335、移籍後は123打席で.274。前者の成績により、マギーは首位打者を獲得した。そこに、後者の成績は含まれていない。

 2チームで記録したマギーの成績を合算すると、665打席で打率.324となる。もし、マギーがナ・リーグのチームへ移籍し、その後、アスレティックスで記録したのと同じ成績だったとしたら……。この年、ナ・リーグでマギーに次ぐ打率2位に位置したエディ・マリーは、ロサンゼルス・ドジャースでプレーし、打率.330を記録した。マギーは1985年にも首位打者を獲得しているが、マリーはマギーよりも1001本多い3255本のヒットを打ちながら、首位打者は一度もなかった。