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大谷翔平は好投も、最後は6点差の大敗。緊急時の捕手が起用され、投手が外野を守り、別の投手は代打出場

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Jun 23, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月23日、「2番・投手」として出場した大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、打者としては3打数0安打ながら、6イニングを投げて9三振を奪い、ホームランによる1点しか取られなかった。

 スコアはそこから動かず、1対1のまま、延長戦に入った。エンジェルスは12回表に1点リードされたが、再び同点に追いついた。ただ、13回表に7点を取られ、その裏は1点しか返せなかった。

 12回表は、アクシデントにも見舞われた。ファウル・チップをマスクに受け、捕手のカート・スズキが退場。代わって、レフトを守っていたテイラー・ウォードがマスクをかぶり、翌々日に登板予定のグリフィン・キャニングがレフトの守備についた。

 ウォードは2017年まで捕手だったので、エマージェンシー・キャッチャー(緊急時の捕手)として想定されていたが、2018年のメジャーデビュー以降、そのスキルを必要とされる事態は一度もなかった。この試合は、スズキと併用されているマックス・スタッシが、10回裏に投手の代打として起用され、すでに出場を終えていた。

 捕手デビューのウォードと違い、キャニングの野手出場は2度目だ。6月11日の10回表に、死球のスズキに代わる走者として起用された。もっとも、投手以外の守備についたことはなかった。

 前日にジャスティン・アップトンが腰を痛め、この試合は出場できず。それほど深刻ではないということで、故障者リストには入らず、アクティブ・ロースターにとどまっているため、代わりの選手を昇格させることはできず、起用できる野手はいつもより1人少なかった。また、DHを解除していたため、リリーフ投手の打順に、フィル・ゴスリンとスタッシが代打出場。アップトン以外の野手は残っておらず、キャニングがレフトを守ることになった。ちなみに、昨シーズン、キャニングはゴールドグラブを受賞した。

 スタッシウォードは無事に捕手を務め、キャニングのところへ打球は飛ばなかった。12回裏の先頭打者として、キャニングは送りバントも決めた。2019年の登板時に記録した、過去の2打席は、二塁ゴロと三振だった。

 また、最後に力尽きたとはいえ、リリーフ投手もよくつないだ。大谷に続いて投げた3人、マイク・マイヤーズライセル・イグレシアススティーブ・シーシェックは、いずれもイニングをまたいで投げ、得点を許さなかった。

 惜しかったのは、12回裏だ。同点に追いついた後、1死一、三塁からの内野ゴロで三塁走者がホームを突き、球審は両手を広げた。けれども、リプレーの結果、ホームインよりもタッチのほうが先だったと判定された。次の打者は、投手のトニー・ワトソン。同じく投手のディラン・バンディが代打に起用され――こちらも代打出場は初めて――3球三振を喫した。

 この黒星により、エンジェルスは3連敗。借金2の36勝38敗となり、地区首位との差は、今シーズン最大の10ゲームに開いた。

 6月24日のオフを挟み、エンジェルスは、25日からタンパベイ・レイズと3試合を行う。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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