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魔球使い、再び現る。33歳のナックルボーラーがメジャーリーグに初昇格。大谷翔平にも近々投げる!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ミッキー・ジャニス(ボルティモア・オリオールズ)Mar 12, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月22日、ボルティモア・オリオールズは、AAAからミッキー・ジャニスを昇格させた。

 ジャニスは、33歳の右投手だ。これまでにメジャーリーグで投げたことは、一度もない。2010年のドラフトで、タンパベイ・レイズから44巡目・全体1331位指名を受け、大学からプロ入り。2012年から2015年までは独立リーグ(とオーストラリアのリーグ)で投げ、ニューヨーク・メッツを経て、昨年1月にオリオールズへ入団した。今シーズンはAAAでリリーフとして6試合、先発として1試合に登板し、計24.2イニングで防御率2.92を記録している。

 その経歴と現在の年齢だけでも、注目に値する。しかも、ジャニスはナックルボーラーだ。2011年のオフにレイズから解雇され、速球とスライダーを主体とする「普通の投手」から「魔球使い」に転じた。

 昨年末に「ナックルボーラーは今でもいる!? それとも、すでに絶滅!?」で書いたとおり、昨シーズンのメジャーリーグにナックルボーラーはいなかった。ナックルボールを投げた選手はいるが、いずれも野手だった。今シーズンも、同じ状況が続いている。スタットキャストがナックルボールと判定した投球は、内外野を守るユーティリティのダニー・メンディック(シカゴ・ホワイトソックス)による、4月19日の15球中12球しかない(他の3球はイーファス・ピッチ)。

 ジャニスがメジャーデビューすれば、ナックルボーラーがメジャーリーグで投げるのは、2019年のスティーブン・ライトライアン・フィアベンド以来となる。ここからオリオールズが試合を行う相手は、6月23日がヒューストン・アストロズ、24日~27日がトロント・ブルージェイズ、28日~30日は再びアストロズだ。続いて、7月2日~4日は、ロサンゼルス・エンジェルスと3試合を行う。大谷翔平に対し、ジャニスが投げる可能性もある。ライトとフィアベンドは、大谷とは対戦していない。

 なお、現時点ではメジャーリーグ最後のナックルボーラーである――近々そうではなくなる予定の――2人も、キャリアを終えてはいない。36歳のライトは、3月下旬にピッツバーグ・パイレーツと契約し、AAAで登板している。35歳のフィアベンドは、かつてジャニスが在籍したこともある独立リーグの球団、レイク・エリー・クラッシャーズで投げている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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