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大谷翔平はこれからますます勝負を避けられる!? トラウトに続いてレンドーンもいなくなれば…

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンソニー・レンドーン(左)と大谷翔平 Jun 5, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月15日、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、6月8日以来となるホームランを打った。これは、シーズン18本目。前日まで4試合続けてホームランを打っていたブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)のストリークは止まり、大谷はその差を再び4本に戻した。18本塁打で2人の間に位置していたマット・オルソン(オークランド・アスレティックス)は、大谷と同じ試合に出場し、ホームランはなく、大谷に並ばれた。それまでの彼らについては「大谷翔平の本塁打ランキング。一時は2位に2本差をつけていたが、現在はトップと4本差の3位」で書いた。

 ただ、ここからの大谷のバッティングについて、懸念されることが一つある。チームメイトの三塁手、アンソニー・レンドーンの状態だ。前日の試合で、レンドーンは三塁線の打球にダイビング・キャッチを試み、右の上腕三頭筋を痛めた。次のイニングに交代し、この日は欠場した。

 ロサンゼルス・タイムズのマイク・ディジオバンナらによると、ジョー・マッドン監督はレンドーンについて「思っていたよりも状態はいい」「欠場は数日で済みそう」「故障者リストに入る必要はない」と語ったという。

 そのとおりであれば、大きな問題にはならないだろう。けれども、そうであってほしいが、全面的に信じることはできない。すぐ故障者リストに入らなくても、リスト入りの日は、最後に出場した試合の翌日まで遡ることができる。

 開幕から5月半ばまでは、2番を打つ大谷の後ろには、マイク・トラウトがいた。トラウトが右のふくらはぎを痛めて離脱してからは、レンドーンが4番から3番へ移った。DHがなく、大谷が登板もしなかった6月12~13日の2~4番は、ジャレッド・ウォルシュマックス・スタッシ、レンドーンが並び、大谷が2番に戻った6月14日も、スタッシが3番、レンドーンは4番だったが、大谷の後ろを打つ、トラウトに次ぐ適任者はレンドーンだろう。大谷とウォルシュは左打者、トラウト、レンドーン、スタッシは右打者だ。

 スタッシは6月第2週のプレーヤー・オブ・ザ・ウィーク(週間最優秀選手)に選ばれたものの、実績からすると、この好調が本物なのかどうかには疑問が残る。6月15日の試合は、スタッシではなくカート・スズキがスタメンマスクをかぶり、大谷の後ろには、こちらも右打者のホゼ・イグレシアスが入った。

 トラウトが試合途中に離脱した5月17日を含め、それまでの大谷は163打席で8四球だった。それに対し、5月18日以降は87打席で17四球だ。四球率は4.9%と19.5%。サンプル数はそう多くないとはいえ、「マイク・トラウトの離脱が大谷翔平に及ぼす影響。出塁率はむしろ上がる!?」で書いたとおりのことが起きているように見える。

 一方、ホームランを打つペースは、11.7打数/本(152打数で13本)と13.8打数/本(69打数で5本)だ。こちらは、それほど落ちていない。トラウトがいなくなっても、よく打っているという見方ができそうだ。

 とはいえ、レンドーンが故障者リストに入り、さらに勝負を避けられるようになれば……。

 なお、トラウトの復帰は、オールスター・ブレイク前後になりそう。ファン投票の中間発表ではア・リーグ外野手部門のトップに立っているが、選出されたとしても、出場は微妙だ。その前に復帰していても、オールスター・ゲームは顔見せだけで欠場、あるいは、出場しても代打のみとなる可能性が高いと思われる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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