審判が投げたバットが選手に当たる。幸いにも大事には至らず
6月9日、ホゼ・アブレイユ(シカゴ・ホワイトソックス)がバットに当たった。アブレイユのバットにボールが当たったのではない。
1回裏、1死二塁の場面で、ホワイトソックスの3番打者、ヨアン・モンカーダの打球は三遊間を抜けた。モンカーダはバットから手を離し、一塁へ走り出した。二塁走者のジェイク・ラムは三塁を回ってホームへ向かい、打球を拾ったレフトのルルデス・グリエルJr.(トロント・ブルージェイズ)はホームへ送球した。
その前後に、ホームで動きがあった。左打席のすぐ横に位置するモンカーダのバットが、ラムの進路の先にあると判断したのだろう、球審のエリック・バッカスはバットを拾い上げ、振り向かずに後ろへ投げた。バッカスは、昨年8月にメジャーデビューしたルーキーの審判だ。
そのバットが、オンデック・サークルから駆けてきたアブレイユに当たった。こちらは、走ってくるラムに、タッチを避けるため、ホームのどちら側へ滑り込むべきかなど、指示を出せる位置へ移動する途中だったのだろう。アブレイユは小さくジャンプして避けようとしたが、飛んできたバットが左膝にぶつかり、もつれるように転倒した。この直後に、ラムは無事にホームイン。アブレイユはホームに背を向けて倒れていたので、ラムがどうなったかは見えなかったはずだ。
そのまま、アブレイユはしばらく動けなかった。次打者のヤズマニ・グランダルが駆け寄り、ダグアウトからはトレーナーが出てきた(写真)。
ただ、幸いにも、大事には至らなかった。アブレイユは打席に入り、追加点は挙げられなかったものの、ライナーを打って三塁手に捕られ、ダグアウトへ戻った。以降も、試合から退くことなくプレーした。
後から痛みが出てくることもなかったようだ。翌日も「4番・一塁」として出場したアブレイユは、1回裏に二塁打を打って先制点を挙げ、8回裏にも再びタイムリー二塁打を記録した。
過去2シーズンとも、アブレイユは打点王を獲得している。特に、昨シーズンは60試合で60打点のハイペースだった。今シーズンも、6月10日の2打点により、リーグ・トップに追いついた。