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プーホルスにMVPを阻まれた選手と、プーホルスを凌いでMVPを受賞した選手。AJはどっちだった!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
アルバート・プーホルス July 28, 2005(写真:ロイター/アフロ)

 アルバート・プーホルスは、メジャーデビューした2001年から、MVP投票で11年続けてトップ10に入った。9位の2007年を除くと、他はいずれも5位以内だ。MVPを3度受賞し、2位は4度を数える。それに対し、セントルイス・カーディナルスを去り、ロサンゼルス・エンジェルスへ移ってから票を得たのは、2012年と2014年の2度。順位はどちらも17位だった。

筆者作成
筆者作成

 プーホルスに次ぐ2位に終わったのは、2005年がアンドルー・ジョーンズ、2008年がライアン・ハワード、2009年はハンリー・ラミレスだ。

 プーホルスとハワードは、2006年もトップ2に並んだが、その時はハワードが受賞した。ハワードの2位以内は、この2度(2006年から2009年まで4年連続トップ5。2010年と2011年は10位)。どちらのシーズンも本塁打王と打点王を獲得し、ホームランの本数はプーホルスを大きく上回った。2006年は9本差(58本と49本)、2008年は11本差(48本と37本)だった。

 後に東北楽天ゴールデンイーグルスでもプレーしたアンドルーは、プーホルスの後塵を拝した3人のなかで、ポイントの差が最も小さかった。2005年の結果は、プーホルスが378ポイント、アンドルーは351ポイント。その差は27ポイントだった。2008年のハワードは61ポイント差、2009年のハンリーは215ポイント差だ。

 2005年のプーホルスとアンドルーを比べると、スラッシュライン(打率/出塁率/長打率)はすべてプーホルスが勝り、.330/.430/.609と.263/.347/.575ながら、プーホルスの41本塁打と117打点に対し、アンドルーはリーグ・トップの51本塁打と128打点を記録した。また、ともに守備も優れていたものの、プーホルスは一塁、アンドルーはセンターを守った。カーディナルスと、アンドルーのいたアトランタ・ブレーブスは、それぞれの地区を制した。

 2人のうち、どちらがMVPに選ばれても、おかしくなかった気がする。ベースボール・リファレンス版のWARは、プーホルスが8.4でアンドルーは6.7だが、ファングラフス版のWARは7.7と7.9だ。この他に、アンドルーがMVP投票でトップ5に入ったシーズンはなかった。

アンドルー・ジョーンズ June 27, 2005
アンドルー・ジョーンズ June 27, 2005写真:ロイター/アフロ

 一方、プーホルスが2位に終わった4度のうち、最初の2度はバリー・ボンズがMVPを手にした。その前後、プーホルスが4位の2001年と3位の2004年も、受賞者はボンズだった。ボンズのMVP7度は史上最多。次いで多い、プーホルスら10人を大きく引き離す。

 ちなみに、アダム・ジョーンズ(現オリックス・バファローズ)は、2012年が6位、2013年が13位、2014年は14位(いずれもア・リーグ)。こちらのAJは、プーホルスにMVPを阻まれたことも、プーホルスのMVPを阻んだこともないが、2012年と2014年は、どちらもプーホルスより上位に位置した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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