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二遊間デュオが「試合中に口論」。見かけた動物がネズミなのかアライグマなのかを巡って…!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェフ・マクニール(左)とフランシスコ・リンドーア May 8, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月7日、ニューヨーク・メッツは、ツイッターで「ネズミとアライグマのどっち?」というアンケートを実施した。2万5000人近くが回答した結果は、ネズミが61.1%、アライグマが38.9%だった。

 この日、7回表が終わった直後に、メッツの選手たちは、ダグアウトからクラブハウスへ通じるトンネルに駆け込んでいった。そこでは、二遊間デュオのジェフ・マクニールフランシスコ・リンドーアが、激しく言い争っていた。

 試合後の会見で、リンドーアは、見かけた動物がネズミなのかアライグマなのかを巡り、言い争いになったと説明した。リンドーアがネズミだと言ったのに対し、マクニールはアライグマだと主張したという。それに対し、マクニールは、本当はアライグマではなくポッサムだと思ったと語った。今シーズンの開幕直後には、別の球場に猫が現れている。この件については「フィールドを駆け回ったのは、選手ではなく…猫だった」で書いた。

 もちろん、口論の原因は他にある。7回表の守備だ。2人がゴロを捕ろうとして左右から駆け寄り、直前にマクニールが止まってしゃがみこんだ。捕手が二塁へ投げる時、マウンドで投手がするような格好だ。ただ、マクニールの位置は、送球するリンドーアの目の前だった。送球はワンバンドで一塁手に届いたものの、内野安打になった。

 遠因としては、リンドーアの不振も挙げられる。1月にクリーブランド・インディアンズから移籍したリンドーアは、4月に10年3億4100万ドルの延長契約を手にした。ところが、開幕から調子が上がらず、早くも4月下旬には、ホームの試合でファンからブーイングを浴びた。ちなみに、生え抜きのマクニールも、メジャーリーグ4年目の今シーズンは鈍い出足だ。

 だが、チームメイトのマーカス・ストローマン――この日は登板しなかった――は、こうツイートした。「ネズミなのかアライグマなのかは、まだわからない。でも、僕たちにとって素晴らしい勝利だった!」

 口論の時点で、メッツは2点リードされていたが、直後にリンドーアのホームランで同点に追いつき、10回裏にサヨナラ勝ちを収めた。もし、ホームランを打たず、試合にも敗れていれば、リンドーアの発言も違ったものになっていたのではないだろうか。

 翌日の3回裏に、マクニールは2ラン本塁打で先制点を挙げ(写真はその直後)、四球で出塁したリンドーアは、盗塁と悪送球でホームまで戻ってきた。7回裏には、リンドーアのヒットでマクニールが生還した。4対2で勝った試合後、会見でマクニールが質問に答えているところへ、横からリンドーアが現れてマクニールを抱きしめた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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