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有原航平に続き、菊池雄星が登板した試合でも、相手がノーヒッターを達成する。これを2度経験した投手も…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ペドロ・セベリーノ(左)とジョン・ミーンズ May 5, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、ノーヒッターは3度達成されている。そのうちの2度は、日本人投手が先発登板した試合で起きた。

 4月9日、有原航平(テキサス・レンジャーズ)が先発登板した試合で、ジョー・マスグローブ(サンディエゴ・パドレス)は、球団初のノーヒッターを達成した。

 5月5日、菊池雄星(シアトル・マリナーズ)が先発登板した試合で、ジョン・ミーンズ(ボルティモア・オリオールズ)は、三振&ワイルドピッチ(振り逃げ)の1人しか走者を出さずに投げきった。

 偶然以外の理由は、思いつかない。この他に、日本人投手が先発登板した試合で、相手がノーヒッターを達成したのは、見落としがなければ、2010年4月17日の1度きりだ。川上憲伸と投げ合ったウバルド・ヒメネスが、6人を歩かせながら無安打に封じた。

 ちなみに、1995年以降のノーヒッターは、ミーンズが70度目。このなかで、エディンソン・ボルケスA.J.バーネットの2人は、川上、有原、菊池のような試合をそれぞれ2度経験している。もっと遡れば、3度以上の投手もいるかもしれない。チーム数が少ない分、その可能性は高まる。

 ボルケスと投げ合った試合でノーヒッターを達成したのは、2010年10月6日(ディビジョン・シリーズ第1戦)のロイ・ハラデイと2013年7月13日のティム・リンスカム。バーネットが遭遇した2度は、2012年9月28日のホーマー・ベイリーと2014年5月25日のジョシュ・ベケットだ。

 ボルケスとバーネットは、自身がノーヒッターを達成したこともある。ボルケスは2017年6月3日、バーネットは2001年5月12日だ。

 先発投手として、ノーヒッターを「どちら側でも」経験したのは、彼らだけではない。同じシーズンに両方という投手もいる。リンスカムは、2013年7月2日に、2度目のノーヒッターを達成したベイリーと投げ合い、その11日後に自身が成し遂げた。2015年のジェイク・アリエタ(シカゴ・カブス)も、順序はリンスカムと同じ。こちらは、7月25日と8月30日だ。前者は、コール・ハメルズがノーヒッターを達成した(ハメルズのノーヒッターは、継投を含めると2度目)。後者の試合後、アリエタはパジャマを着て会見に臨んだ。それについては、当時、「仲間はパジャマ姿でノーヒッターを祝い、アリエタ自身も口髭柄のつなぎ。これもマッドン・マジック!?」書いた。アリエタとリンスカムは2人とも、両方を経験した翌年に、2度目のノーヒッターを達成している。

 なお、川上、有原、菊池の3人とも、日本プロ野球で先発登板した試合では、相手のノーヒッターに遭遇していない。川上は、2002年8月1日にノーヒッターを達成した。

 菊池は、ミーンズと投げ合う直前の登板で、7回裏の1死までノーヒッターを続けていた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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