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「最強の9番打者」現る!? デビュー戦の初球本塁打に続き、2試合目は満塁本塁打、3試合目はサヨナラ打

宇根夏樹ベースボール・ライター
ラモン・サンティアゴ(手前)とアキール・バドゥー Apr 6, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月4日、「9番レフト」としてメジャーデビューしたアキール・バドゥー(デトロイト・タイガース)は、1打席目の初球を、レフトのフェンスとスタンドの間にあるブルペンまで飛ばした。

 その翌日、「9番センター」として出場したバドゥーは、1打席目に振り逃げで一塁に生きて二盗を決め、2打席目のシングル・ヒットと3打席目の投手ゴロを経て、2死満塁で迎えた4打席目に再びレフトへホームランを打った。

 5年前のドラフトで、バドゥーは2巡目・全体74位にミネソタ・ツインズから指名された。タイガースへ移ったのは昨オフ。ルール5ドラフトで指名を受け、ツインズから移籍した。現在の年齢は、22歳だ。

 タイガースのビート・ライター、MLB.comのジャック・ベックは、メジャーリーグで最初の2試合とも9番打者として出場し、どちらの試合でもホームランを打ったのは、バドゥーが初だと書いている。

 ベースボール・リファレンスによると、1901年以降、デビューから2試合続けてホームランは、バドゥーが25人目。そのうち、2016年のトレバー・ストーリー(コロラド・ロッキーズ)は4試合連続、2019年のカイル・ルイス(シアトル・マリナーズ)は3試合連続だ。25人のなかに、2試合とも打順9番は、バドゥー以外にいない。例えば、2006年の城島健司は2試合とも「7番・捕手」だった。2008年のジョン・ボウカーは「6番ライト」、2016年のアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は「8番ライト」だ。

 バドゥーのホームランをMLB.comの動画で観ると、アナウンサーは1本目を「ストーリー・ブック・ホームラン!」と形容し、2本目では「フェアリー・テイルは続く!」と言っている。

 4月6日、スターティング・ラインナップにバドゥーの名前はなかった。開幕からここまで、タイガースの打順9番は、ジャコビー・ジョーンズ、ジョーンズ、バドゥー、バドゥー、ジョーンズ。2人ともセンターを守れる外野手で、バドゥーは左打者、ジョーンズは右打者だ。

 この試合の8回裏、打順7番のジョナサン・スコープが四球で出塁したところで、バドゥーは代走として起用され、9回表からライトの守備についた。そして、10回裏に前の打者が敬遠四球で歩かされた後、サヨナラとなるヒットを打った。写真はその直後だ。

 デビューからの連続本塁打は、2試合で途切れた。だが、フェアリー・テイルはまだ続いている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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