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大谷翔平が復活しても、エンジェルスの先発投手陣は今シーズンも期待薄!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス) Aug 2, 2020(写真:代表撮影/USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ロサンゼルス・エンジェルスは、2人の先発投手をチームに加えた。FAのホゼ・キンターナと1年800万ドルで契約し、トレードにより、ボルティモア・オリオールズからアレックス・カッブを獲得した。彼らは、ディラン・バンディアンドルー・ヒーニーグリフィン・キャニング大谷翔平とともに、2021年のローテーションを形成する。メジャーリーグのローテーションは、中4日登板の5人が主流だが、二刀流の大谷がいるエンジェルスは、中5日登板の6人だ。

筆者作成
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 過去3シーズンの成績を見る限り、期待できそうなローテーションではない。3シーズンとも規定投球回に達した投手はおらず(2019年のバンディは0.1イニング不足)、規定投球回以上を投げて防御率4.00未満は、短縮シーズンとなった2020年のバンディ(防御率3.29)だけだ。ファングラフスが掲載している5つのメディアの予想成績において、どれか一つでも防御率4.00未満という投手は、この6人のなかに誰もいない。

筆者作成
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 ただ、新たに加わった2人は、ともに実績がある。キンターナはシカゴ・ホワイトソックスで、2013~16年に4年続けて200イニング以上&防御率3.60未満を記録した。各シーズンの防御率は、3.51、3.32、3.36、3.20だ。カッブもタンパベイ・レイズ時代に、規定投球回以上&防御率3.70未満が2度。2014年は166.1イニングで防御率2.87、2017年は179.1イニングで防御率3.66を記録した。

ホゼ・キンターナ Sep 24, 2020
ホゼ・キンターナ Sep 24, 2020写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ちなみに、2人とも、ジョー・マッドン監督とは「再会」となる。キンターナは2017年の夏から2019年まで、シカゴ・カブスでマッドン監督に起用された。カッブは2011年のメジャーデビューから2017年までレイズで投げ(2015年は全休)、マッドンは2006年から2014年までデビルレイズ/レイズで監督を務めた。従って、2011~14年が重なっている。

アレックス・カッブ Sep 16, 2017
アレックス・カッブ Sep 16, 2017写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 また、昨シーズンのバンディとヒーニーは、奪三振率9.87と9.45がリーグ6位と11位、与四球率2.33と2.57は8位と12位、K/BB4.24と3.68は8位と10位だった。短縮シーズンながら、数値は良好。彼らは、2011年のドラフト全体4位と2012年の全体9位だ。今シーズン、ブレイクしてもおかしくはない。生え抜きのキャニングも、ドラフト1巡目ではなく2巡目ながら、指名順位は高い。2017年の全体47位だ。

 新加入の2人が数年前の姿を取り戻し、大谷を含む既存の4人が揃って資質を発揮すれば、悪くないローテーションになる。一番の不安材料は故障だ。6人とも、過去3年に少なくとも2度、故障者リストに入っている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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