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スネルとダルビッシュに続き、パドレスが三角トレードで3人目のエースを獲得

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョー・マスグローブ Sep 26, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、サンディエゴ・パドレスは2人のエースを獲得した。タンパベイ・レイズからブレイク・スネル、シカゴ・カブスからはダルビッシュ有を手に入れた。

 先発投手陣の補強は、これで終わりではなかったようだ。ESPNのジェフ・パッサンが「ピッツバーグ・パイレーツからジョー・マスグローブを獲得する件について、パドレスは合意に達した」と報じている。パドレスのビート・ライター、MLB.comのAJ・キャッサベルによると、ニューヨーク・メッツを含む三角トレードにより、計6選手が動くという。

 スネルは、3年前にサイ・ヤング賞を受賞した。ダルビッシュは、2012年のア・リーグ9位と2013年のア・リーグ2位に続き、昨年はトレバー・バウアー(現FA)に次ぐナ・リーグ2位に位置した。

 彼らと比べると、マスグローブの実績は劣る。規定投球回に達したシーズンは、170.1イニングの2019年しかなく、この年の防御率は34人中31位の4.44。ナ・リーグ・ワースト4位だ。昨シーズンは39.2イニングを投げ、防御率3.86だった。ちなみに、スネルは50.0イニングで防御率3.24、ダルビッシュは76.0イニングで防御率2.01だ。

 ただ、2人と同じように、マスグローブもエースだった。2019年のパイレーツに、150イニング以上を投げた投手は他に不在。70イニングを超えた6人のうち、防御率4.50未満もマスグローブしかいなかった。昨シーズンのイニングが少なかったのは、故障による一時離脱が理由だ。マスグローブは、開幕投手を務めた。

 また、昨シーズンのマスグローブは、ブレイクを予感させた。サンプル数は少ないものの、それまで8.40に達したことがなかった奪三振率が一気に跳ね上がり、12.48を記録した(スネルは11.34、ダルビッシュは11.01)。スタットキャストのデータによると、カーブとスライダーの空振り率はどちらも50%以上。両球種とも、2019年は40%未満だった。

 マスグローブとスネルは、ともに28歳。まったく同じ、1992年12月4日に生まれた。2011年のドラフト1巡目も、2人は共通する。マスグローブは全体46位、スネルは全体52位で指名され、大学には行かずにプロ入りした。

 パドレスのローテーションには、マスグローブとスネルの数ヵ月前に生まれた、ディネルソン・ラメットもいる。昨シーズン、ラメットは69.0イニングを投げて防御率2.09を記録し(奪三振率は12.13)、サイ・ヤング賞の選考投票では、バウアーとダルビッシュ、ジェイコブ・デグローム(メッツ)に次ぐ4位に位置した。

 3年前、クリーブランド・インディアンズの先発投手4人、カルロス・カラスコ(現メッツ)、コリー・クルーバー(現ニューヨーク・ヤンキース)、バウアー、マイク・クレベンジャー(現パドレス)は、メジャーリーグ初の「200奪三振カルテット」を結成した。

 今シーズンのパドレスの4人は、史上2組目となってもおかしくない。昨年11月にトミー・ジョン手術を受けたクレベンジャーが復帰する2022年は、クインテットの可能性も出てくる。もちろん、2021年に4人とクリス・パダック(あるいは他の投手)がクインテット結成も、まったくあり得ないことではない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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