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佐野恵太が迫る「6試合連続本塁打」を記録した選手は、その年に本塁打を量産したのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
新井貴浩/北京五輪 AUGUST 23, 2008(写真:アフロスポーツ)

 佐野恵太(横浜DeNAベイスターズ)は、10月11日から16日にかけて、5試合続けてホームランを打っている。18日もホームランを打てば(17日の試合は雨で流れた)、球団記録を塗り替え、日本プロ野球史上16人目の6試合連続となる。

 7試合連続の王貞治(1972年)とランディ・バース(1986年)を含め、6試合以上のストリークを記録した15人が、その年に打ったホームランの本数はさまざまだ。40本以上が6人いる一方で、30本未満も4人を数える。最多はアレックス・カブレラ(2003年)の50本、最少はジョージ・アルトマン(1974年)の21本だ。アルトマンの場合、大腸癌によって85試合しか出場できなかったが、次いで少ない23本のリー・スチーブンス(1995年)は、129試合に出場した。

筆者作成
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 もっとも、スチーブンスを除く14人は、35本塁打以上のシーズンが少なくとも一度はある。パワーのない選手が6試合以上続けてホームランを打ち続けることは、基本的にはないようだ。6試合連続にリーチをかけている佐野も、パワーのポテンシャルは低くない。

 ストリークとシーズン最多が同じ年の選手は5人。1985年のリチャード・デービス、1987年のリック・ランセロッティ(登録名はランス)、1995年のスチーブンス、2005年の新井貴浩、2017年のアレックス・ゲレーロがそうだ。

 なかでも、パワーの爆発とストリークが完全に一致したのは、新井だろう。この年は43本のホームランを打ったが、他に30本以上の年はなく、20本以上も3度(2002、06~07年)にとどまる。250打数以上の15シーズン中、1本塁打に要する打数が15以下だったのは、2005年(12.6打数/本)だけだ。デービスはストリークの年とその翌年に、2年続けて35本以上のホームランを打った。ランス、スチーブンス、ゲレーロの3人は、日本プロ野球でプレーしたのが3年以下と短かった。

 なお、佐野がストリークを6試合に伸ばすと、前年まで二桁のシーズンが一度もなかった選手では、初となる(ストリークが来日1年目のランスとゲレーロを除く)。佐野の本塁打は、2017年が18試合(21打数)で0本、2018年が73試合(126打数)で5本、2019年も89試合(200打数)で5本。今シーズンは、ここまで102試合に出場し、392打数で20本だ。一軍4年目は、ストリークを記録した年のバース(1986年)と阿部慎之助(2004年)と同じ。2001~03年の阿部の本塁打は、いずれも二桁ながら20本には届かなかった。それに対し、2004~13年は20本以上が9度あり、20本未満は1度だけ。そのうちの5度は30本を超えた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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