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ポストシーズン進出枠の拡大によって「恩恵」を受けたのは、どのチーム!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
セントルイス・カーディナルス Sep 27, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年のポストシーズンは、各リーグ5チーム(合計10チーム)で行われた。東地区、中地区、西地区の1位と、ワイルドカードの2チームだ。それに対し、今年のポストシーズンは、各リーグ8チーム(合計16チーム)。各地区の1位と2位に、ワイルドカードの2チームだ。

 昨年の進出枠を今年に当てはめると、各リーグ3チーム(合計6チーム)がポストシーズンの「圏外」となる。

 ア・リーグは、東地区2位のニューヨーク・ヤンキース(勝率.550)と3位のトロント・ブルージェイズ(勝率.533)に、西地区2位のヒューストン・アストロズ(勝率.483)がそれに該当する。中地区2位と3位のクリーブランド・インディアンズシカゴ・ホワイトソックスは、どちらも勝率.583。これらの3チームを上回る。

 ナ・リーグは、東地区2位のマイアミ・マーリンズ(勝率.517)、中地区3位のシンシナティ・レッズ(勝率.517)、中地区4位のミルウォーキー・ブルワーズ(勝率.483)が「圏外」だ。西地区2位のサンディエゴ・パドレスは勝率.617。中地区2位のセントルイス・カーディナルスは勝率.517なので、マーリンズとレッズと並んでいるようにも見えるが、この2チームの.516666…に対し、カーディナルスは0.517241…だ。

 このわずかな勝率の差は、試合数の違いによる。カーディナルスは新型コロナウイルスの集団感染に見舞われ、60試合のレギュラーシーズンを58試合で終えた。残る2試合が行われなかったのは、この勝敗がどうであっても、ポストシーズンに進出するチームは変わらないからだと思われる。

 ただ、仮にカーディナルスがあと2試合を行い――相手はア・リーグ東地区5位のデトロイト・タイガース(勝率.397)――2敗を喫した場合、勝率は.500となり、マーリンズとレッズを下回る(ちなみに、タイガースの勝率は.400を超える)。

 そうなれば、今年に関しても、シード順が動き、カーディナルスはシード5→7、マーリンズはシード6→5、レッズはシード7→6となっていた。カーディナルス対パドレス(シード4)、マーリンズ対シカゴ・カブス(シード3)、レッズ対アトランタ・ブレーブス(シード2)ではなく、マーリンズ対パドレス、レッズ対カブス、カーディナルス対ブレーブスだったということだ。ワイルドカード・シリーズの対戦カードは、両チームのシードを足して9になるように組まれる。

 レギュラーシーズンが終わったのは9月27日。ポストシーズンが始まるのは、ア・リーグが29日、ナ・リーグは30日だ。レッズのトレバー・バウアーは、27日にこうツイートした。「明日、カーディナルスがなぜ試合をしないのか、誰か説明してくれないかな? 真面目な質問、誰かをからかおうとしてるんじゃなくて。理由がわからないんだ」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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