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60試合で30本塁打は可能!? 「30本未満で本塁打王」なら39年ぶり

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャンカルロ・スタントン Sep 20, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ESPNスタッツ&インフォは、こうツイートしている。「2020年のMLBシーズンは60試合の予定。バリー・ボンズは、チームが最初の60試合を終えた時点で30本塁打に達していた、史上唯一人の選手。2001年に最初の60試合で32本を打った」

 開幕60試合で30本塁打以上はボンズだけでも、彼を筆頭とするシーズン本塁打トップ10の大半は、そのシーズン中に、60試合のスパンで30本塁打以上を記録している。1998年のマーク・マグワイアと1927年のベーブ・ルースも、60試合で29本のホームランを打った。

筆者作成
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 60試合で30本塁打以上は、前例があるということだ(他にもいるかもしれない)。そのなかには、現役選手のジャンカルロ・スタントン(現ニューヨーク・ヤンキース)もいる。

 もっとも、昨シーズン、40本塁打以上を記録した10人のうち、60試合のスパンで最も多くのホームランを打ったのは、26本のエウヘニオ・スアレス(シンシナティ・レッズ)とマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)だった(こちらも、もっと多い選手がいるかもしれないが、可能性は低い)。

筆者作成
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 今シーズンは、スタントンが再びパワーを炸裂させてホームランを量産するか、3年前のスタントンに匹敵する選手が現れない限り、30本未満の本塁打王が誕生しそうだ。

 そうなれば、1981年のナ・リーグ以来となる。

 この年は、ストライキを挟んで前期と後期に分けられ、1チームにつき合計103~111試合を行った。25本以上のホームランを打った選手は、フィラデルフィア・フィリーズのマイク・シュミット(31本)だけ。ア・リーグは22本の4人、ボルティモア・オリオールズのエディ・マリー、ボストン・レッドソックスのドワイト・エバンス、オークランド・アスレティックスのトニー・アーマス、カリフォルニア・エンジェルスのボビー・グリッチが、本塁打王を獲得した。

 タイトルを分け合った4人のうち、アーマス以外は、キャリアを通して35本塁打以上のシーズンがなかった。また、アーマスはこの3年後に43本のホームランを打ち、再び本塁打王を獲得したが、他の3人は、この年を除くとリーグ2位も皆無。30本塁打がシーズン最多のグリッチに至っては、リーグ・トップ5に入ったこともなかった。失礼な言い方のような気もするが、千載一遇のチャンスをものにした。

 一方、シュミットは大本命。8度の本塁打王――1981年は5度目――は、ルースの12度に次ぐ。

 なお、60試合で打率4割については、こちらで書いた。

イチローも記録している「60試合で打率4割」。現役選手のなかにも…

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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