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防御率の高い「最多勝投手」。松坂大輔は防御率3.50以上の最多勝が2度。4点台で21勝の投手も

宇根夏樹ベースボール・ライター
松坂大輔 SEP 23, 2000(写真:星武志/アフロ)

 防御率3.50以上のシーズンに最多勝のタイトルを獲得した投手は、延べ14人を数える。直近は、2年前の多和田真三郎(埼玉西武ライオンズ/現在は契約保留選手)だ。防御率3.81で16勝。9月18日に15勝目を挙げた時点では、防御率4点台(4.04)だった。

 なかには、防御率4点台の最多勝投手も存在する。1985年の佐藤義則は、防御率4.29で21勝を挙げた。

筆者作成
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 もっとも、佐藤の防御率は、数値こそ高いものの、シーズンにおける相対的な位置は悪くなかった。リーグ順位は10位。規定投球回をクリアした23人中、半数以上の防御率は佐藤よりも高かった。ちなみに、防御率3.00未満は工藤公康(2.76)だけ。3点台も4人しかいなかった。

 防御率3.50以上&最多勝のシーズンが2度ある松坂大輔(現・埼玉西武ライオンズ)は、それがさらに顕著だ。2000年(14勝)の防御率3.97は、最多勝投手では1985年の佐藤に次いで高いが、その一方で、このシーズンのリーグ順位は4位だ。翌年(15勝)の防御率3.60も3位。両年とも、パ・リーグで規定投球回に達した投手は13人いたが、いずれも防御率3.25未満は皆無だった。

 松坂は、デビューイヤーの1999年から、3年続けて最多勝のタイトルを手にした。1999年(16勝)は防御率2.60なので、それと比べると2000年と2001年の数値は高いものの、リーグ順位は3位→4位→3位とほぼ変わらずに推移している。なお、この3シーズンとも防御率トップ5にランクインした投手は、松坂以外にいなかった。3シーズン中2度も、パ・リーグには不在だった。

 あれから20年近くが経った今も、松坂は現役選手だ。ただ、今シーズンの開幕は二軍で迎える。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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