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大量解雇のマイナーリーガーには、こんな「大物」も。稀代のジャーニーマンや元トップ・プロスペクト…

宇根夏樹ベースボール・ライター
トラビス・スナイダー Feb 21, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 数百人のマイナーリーガーが解雇され、そのなかには日本プロ野球の経験者もいることは「メジャーリーグ復帰をめざしたものの…。大量解雇のマイナーリーガーには日本プロ野球の経験者も6人」で書いた。このマイナーリーガーというのは、正確には球団とマイナーリーグ契約を交わしていた選手だ。例えば、アリゾナ・ダイヤモンドバックスから解雇された40人近い選手のなかには、こんな3人がいる。

 36歳のエドウィン・ジャクソンは、史上最多の14チームで投げた投手だ(「ジャーニーマンが新記録樹立へ。14チームでプレーした初の選手が誕生する」)。ダイヤモンドバックスはその4チーム目(2010年に21先発)なので、解雇されずにメジャーリーグのロースターに入り、今シーズンが開幕してそこで登板しても(やけに多くの条件がつくにもかかわらず)、15チーム目にはならないが、史上12人目の2000イニングまであと40.0イニングに迫っている。

 32歳のトラビス・スナイダーは、かつて、トップ・プロスペクトだった。2006年のドラフトでトロント・ブルージェイズから受けた全体14位の指名は、この年の高校生外野手の最高位。2008年の夏にメジャーデビューし、翌年の開幕前のプロスペクト・ランキングでは、ベースボール・アメリカの全体6位とベースボール・プロスペクタスの全体5位に挙げられていた。2015年を最後にメジャーリーグの出場はなく、2018年は独立リーグでプレーしたが、昨シーズンはダイヤモンドバックス傘下のAAAで、出塁率.402とOPS.899を記録している。

 29歳のマーク・ライターJr.の場合、メジャーリーガーとしての実績はスナイダー以上に乏しく、2017~18年に計47試合に登板しただけ――スナイダーの通算本塁打より7少ない――だが、彼の叔父は通算162勝のアル・ライターだ。父のマーク・ライターも、通算65勝を挙げている。その息子は、通算3勝。ちなみに、アルは左腕、2人のマークは右腕だ。息子は、昨年3月にトミー・ジョン手術を受け、今シーズンは復帰をめざすはずだった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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