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日米でタイトル獲得は、野茂、イチロー、ダルビッシュの3人。惜しかったのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
佐々木主浩(左)とダン・ウィルソン Jul 28, 2000(写真:ロイター/アフロ)

 日本プロ野球(NPB)とメジャーリーグ(MLB)の両方でプレーし、そのどちらでも個人タイトルを獲得した選手は3人いる。野茂英雄ダルビッシュ有(現シカゴ・カブス)は日米で奪三振王、イチローは日米で首位打者と盗塁王になった。彼らはいずれも、NPBでは他のタイトルも手にしている。

筆者作成
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 惜しかったのは「ハマの大魔神」、佐々木主浩だ。1995~98年に横浜ベイスターズで4年続けてセ・リーグ最多のセーブを挙げ、シアトル・マリナーズでも2000~02年に3年続けて35セーブ以上ながら、それぞれの順位はア・リーグの3位、2位、6位。タイトルには手が届かなかった。2000年の37セーブと2001年の45セーブは、どちらも1位と5セーブ差(2002年の37セーブは8セーブ差)。2001年はオールスター・ブレイクまでに29セーブを挙げ、この時点では、セーブ王となるマリアーノ・リベラと並んでトップにいた。ちなみに、佐々木は1992年の横浜大洋ホエールズでも、リーグ1位の33セーブポイント(セーブ+救援勝利)を記録したが、21セーブは大野豊(26セーブ)と与田剛(23セーブ)に次ぐ3位だった。

 また、イチローは安打と敬遠四球も、日米でリーグ1位を記録している。最多安打は、NPBで5度(1994~98年)、MLBで7度(2001、04、06~10年)、敬遠四球のリーグ1位は、6度(1995~2000年)と3度(2002、04、09年)だ。

 一方、野茂は奪三振に加え、リーグ最多の与四球と暴投も、日米で記録した。前者は、NPBで4度(1990~93年)、MLBで1度(2001年)。後者は、2度(1991、93年)と1度(1995年)。与四球は、石井一久松坂大輔(現・埼玉西武ライオンズ)もそう。石井はNPBで3度(1998~99、2006年)、MLBで1度(2002年)。松坂は2001年の与四球117がパ・リーグで最も多く、2008年の与四球94はア・リーグ最多だった。

 ウォーレン・クロマティは、MLBでリーグ最多の敬遠四球を記録したのに続き、NPBでもリーグ1位に近づいた。モントリオール・エクスポズ時代の1980年に、ナ・リーグ最多の24度。読売ジャイアンツで1989年に記録した17度は、中村武志の19度に次いだ。クロマティは二塁打も――こちらは順序が逆なので、日米でリーグ1位に近づいたわけではないが――1977年にナ・リーグ最多と3本差の3位タイ(41本)、1979年は2本差の2位(42本)に位置し、NPBでは1985年(34本)と1989年(33本)にセ・リーグ1位となった。

【追記:5/20】読んでくださった方から、セシル・フィルダーが長打率リーグ1位を日米で記録しているとのご指摘をいただきました。おっしゃるとおり、1989年に阪神タイガースで.628、1990年にデトロイト・タイガースで.592、どちらもリーグ1位です。長打率がタイトルかどうかはさておき(個人的にはそうではないと看做していますが)、日米でリーグ1位に近づいたクロマティについて書いている以上、フィルダーにも触れるべきでした。教えてくださってありがとうございます。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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