Yahoo!ニュース

ゴールデン・グラブの「内野独占」は4度。1992年の西武はベストナインの内野も制覇

宇根夏樹ベースボール・ライター
石毛宏典 MAR 27, 2009(写真:アフロスポーツ)

 1972~85年のダイヤモンドグラブを含め、ゴールデン・グラブの選出は48度を数える。疑問符がつく投票結果――守備のみを対象としているにもかかわらず、そうなっていないなど――は他の賞よりも多いが、それはさておき、内野の4ポジションすべてに同じ球団の選手が揃ったことは、これまでに4度ある。パ・リーグが3度、セ・リーグは1度だ。

筆者作成
筆者作成

 なかでも、1992年の西武ライオンズの内野陣、三塁手の石毛宏典、遊撃手の田辺徳雄、二塁手の辻発彦、一塁手の清原和博は、ベストナインの内野も独占した。4人とも、受賞はゴールデン・グラブもベストナインもそれぞれ2度以上。田辺を除く3人は、1988年と1993年もゴールデン・グラブに揃い踏みしている。

 この他にも、同じ球団の内野手3人が同時受賞は18度(計20度)。1975~78年のパ・リーグは、阪急ブレーブスの選手が4年続けて3ポジションを占めた。ちなみに、1977~78年にその一人となった島谷金二は、1976年まで中日ドラゴンズにいた。ダイヤモンドグラブは計4度。1975年と1979年も選ばれた。

筆者作成
筆者作成

 2000~02年のセ・リーグは、ヤクルトスワローズの3人だけでなく、読売ジャイアンツの仁志敏久を含む内野手4人が、3年続けて同じ顔ぶれだった。球団を問わず、同じ4人による内野の連続独占は、これが最も長く、2年連続も2度しかない。1993~94年のセ・リーグは、左から時計回りに、石井琢朗川相昌弘和田豊駒田徳広、2005~06年のセ・リーグは、岩村明憲井端弘和荒木雅博アンディ・シーツが受賞した。なお、駒田の在籍球団は、1993年が読売、1994年は横浜ベイスターズ。1989~99年の11シーズン中、駒田がゴールデン・グラブを手にしなかったのは1992年だけだ。

 また、2011年の福岡ソフトバンクホークスは、内野の独占を惜しくも逃した。遊撃手の川崎宗則(崎の右上は大ではなく立)が得た91票は、受賞しなかった選手のなかでは、両リーグ全ポジションの最多。埼玉西武ライオンズの中島裕之(現・読売)との差は6票だった。

 なお、1978年の阪急と1992年の西武は、内野にとどまらず、9ポジション中8ポジションを占めた。1992年の西武は、ベストナインも8人が受賞した(1978年の阪急は5人)。内野手4人に加え、捕手の伊東勤と外野手の秋山幸二も、ゴールデン・グラブ&ベストナイン。野手は他に、外野手の平野謙がゴールデン・グラブ、DHのオレステス・デストラーデはベストナイン(ゴールデン・グラブにDHはない)を受賞。投手陣からは、郭泰源がゴールデン・グラブ、石井丈裕はベストナインに選ばれた。

 ベストナインの内野独占については、こちらで書いた。

ベストナインの内野を同球団の4人が独占は何度? 昨年のパは3人が埼玉西武、残る1人もその前年までは…

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事