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自宅で打撃練習。庭じゃなくて部屋、子供じゃなくてメジャーリーガーが

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーイ・ギャロ(テキサス・レンジャーズ) Mar 3, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シーズンがいつ始まるのかはわからないが、選手たちは各自、練習をしている。テキサス・レンジャーズのジョーイ・ギャロは、ツイッターに「この隔離期間が終わるまでに、ご近所さんは僕のことを嫌いになるだろうな」と綴り、TikTokのこんな動画をアップした。そこには「ご近所さん、ごめんね」とも記されている。

 打球がネットのない方向へ飛んでいくか、ネットを突き破るかすれば――そういったことはまず起きないだろうし、ご近所さんに謝っているのは打球音のことだと思うが――その先は、正面も左方向も窓ガラスだ。ギャロからすると、視野が開けているのがいいのだろうか。あるいは、違う向き、部屋の内側には、窓ガラスよりも壊れやすい高価な何かが置いてあるのだろうか。

 それはさておき、ギャロはパワー・ヒッターだ。過去3年の103本塁打は10位タイ。さらに、11.6打数に1本のペースは、このスパンに100本塁打以上の15人中、マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)の11.5打数/本に次ぐ。

 ギャロのホームランは、2017~18年の2年連続40本以上から、昨シーズンは22本に半減した。けれども、これは不振ではない。7月下旬に右手首の手術を受け、そこでシーズンを終えた。ホームランを打つペースは、2017年が11.0打数/本、2018年が12.5打数/本、2019年は11.0打数/本だ。

 打球の初速も、スタットキャストによると、3年続けて平均93マイル台と速く、昨シーズンの初速は、フライとラインドライブに限れば、平均101.2マイルを記録した。これは、50打球以上の478人のなかで最速。平均100マイル以上は、ギャロ以外に誰もいなかった。

 遮られることなくギャロの打球が飛んでいく、その日が待ち遠しい。

 なお、昨年5月に「「単打100本未満で100本塁打」は、単なる史上初ではなく異次元の記録」で書いたとおり、ギャロの通算安打は、シングル・ヒット(単打)よりもホームランが多い。現時点の本数は、シングル・ヒットが105本、ホームランは110本。また、ホームランに、二塁打(60本)と三塁打(6本)を合わせると、長打は176本。全安打の62.6%を占める。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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