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大物と抱き合わせて「契約が残るベテラン」を放出したのに、今度は別の「契約が残るベテラン」を獲得!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ウィル・マイヤーズ(サンディエゴ・パドレス)May 2, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ボストン・レッドソックスは、ムーキー・ベッツと抱き合わせる形で、3年9600万ドルの契約が残るデビッド・プライスを、ロサンゼルス・ドジャースへ放出した。交換に3人の若手を獲得し、プライスの9600万ドルについては、レッドソックスとドジャースがそれぞれ半額を負担する。ちなみに、ベッツも、今シーズンの年俸は2700万ドルと高額だ。

 ところが、今度は3年6100万ドルの契約が残るウィル・マイヤーズ(サンディエゴ・パドレス)の獲得に動いているらしい。サンディエゴ・ユニオン-トリビューンのケビン・エーシーが報じている。それによると、両球団の負担額は、こちらもだいたい半々になる方向だという。

 34歳のプライスと違い、マイヤーズは29歳だ。とはいえ、OPS.800以上のシーズンは、新人王を受賞した2013年だけ。昨シーズンは.750にも届かなかった。外野の守備はうまくない上、レッドソックスの外野は埋まっている。アンドルー・ベニンテンディジャッキー・ブラッドリーJr.に、ベッツらと交換に獲得したアレックス・バーデューゴと1年425万ドルで契約したケビン・ピラーがいる。マイヤーズは内野の両コーナーも守るが、こちらも空いているわけではない。

 レッドソックスが欲しいのは、マイヤーズではない。エーシーの記事によると、レッドソックスはカル・クオントリルと2人のプロスペクト、ルイス・カンプサノゲイブリエル・アリアスに興味を持っているが、パドレスが3人を揃って手放すことはなさそうだという。クオントリルは、通算841登板のポール・クオントリルを父に持つ、25歳の右投手だ。昨年5月にメジャーデビューした。他の2人は、21歳の捕手と19歳の遊撃手。まだAAでもプレーしたことがない。

 こちらのトレード――成立するかどうかはわからないが――は、有望な若手を手に入れるため、大きな契約が残る選手も引き取るという図式だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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