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筒香嘉智に背番号を「譲った」コーチは、メジャーリーグ記録の持ち主

宇根夏樹ベースボール・ライター
筒香嘉智(タンパベイ・レイズ)Dec 17, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 タンパベイ・レイズでも、筒香嘉智はこれまでと同じく、背番号「25」のユニフォームを着てプレーする。ただ、この背番号は空いていたわけではない。2019年は、メジャーリーグ・フィールド・コーディネーターのポール・フーバーが使用していた。

 フーバーは退団していないので、筒香は背番号を「譲ってもらった」ことになる。メジャーリーグの慣習に従うなら、御礼をすべきだろう。「大谷翔平の会見コメント以上に笑えた、背番号「17」を巡るジョーク」で書いたような例もあるが、高級腕時計が多いようだ。

 それはさておき、筒香の前にレイズで背番号「25」を使用した3人は、いずれもコーチだ。ジョージ・ヘンドリックは一塁コーチ(2006~14年)、チャーリー・モントーヨは三塁コーチ(2015~17年)とベンチ・コーチ(2018年)を務めた。現在、モントーヨはトロント・ブルージェイズの監督として「25」を背負っている。フーバーは2018年のオフに、マイナーリーグ・キャッチング・コーディネーターから異動した。

 彼らのうち、ヘンドリックはメジャーリーグで267本のホームランを打ったが、他の2人は選手生活のほとんどをマイナーリーグで過ごした。モントーヨのメジャーリーグ出場は1993年の4試合のみ。フーバーは2001~02年と2006~10年にメジャーリーグでプレーしたが、出場は通算40試合に過ぎない。どちらも、ホームランは打てなかった。

 ただ、モントーヨの通算打率は.400だ。5打数2安打。初打席にヒット、4打席目に二塁打を打った。フーバーは、メジャーリーグ記録を持っている。ベースボール・リファレンスによると、1901年以降では「25打席以下のシーズンが最も多い野手」だ。2008年は42打席を記録したが、それ以外の6シーズンは、いずれも25打席を超えることがなかった。こちらも、最初の打席はヒットだった。

 なお、来シーズン、筒香がメジャーリーグで最初のホームランを打つと、レイズの背番号「25」としては2004年のマット・ダイアズ以来、16年ぶりとなる。当時のチーム名はデビルレイズ。「デビル」を外してレイズとなったのは、2008年だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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