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筒香がレイズに求められているのは、ホームランよりも出塁率!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ハンター・レンフロー May 24, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 来シーズンから、筒香嘉智はタンパベイ・レイズでプレーする。タンパベイ・タイムズのマーク・トプキンによると、契約は2年1200万ドル。それぞれの年俸は、2020年が500万ドル、2021年は700万ドルだという。総額2500万ドル以下の場合、ポスティング料はその20%なので、レイズが横浜DeNAベイスターズに支払う金額は240万ドルとなる。

 2019年にレイズで25本以上のホームランを打った選手は、33本のオースティン・メドウズしかいなかった。チーム全体の217本塁打は、ア・リーグ11位。5番目に少なかった。

 ただ、筒香がパワー以上にレイズから求められているのは――パワーも期待はされているはずだが――高い出塁率ではないだろうか。

 今オフ、レイズは筒香を手に入れる前に、サンディエゴ・パドレスからハンター・レンフローを獲得している。レンフローは、2017~18年に2年続けて26本のホームランを打ち、2019年はメドウズと同じく33本を記録した。2019年の本数は両リーグ36位タイだが、13.3打数に1本のペースは、30本以上の58人中14位に位置する。ちなみに、メドウズは16.1打数/本(33位)、筒香は16.0打数/本だった。

 その一方で、レンフローは出塁率が低く、ここ3年は.284→.302→.289と推移している。四球率は5.6%→6.8%→9.3%と上向きながら、スタットキャストのデータによれば、ボール球スウィング率(ストライクゾーンの外の球を振る割合)はあまり変わらず、毎年30%前後だ。ファングラフスのデータでは、どの年も30%を超えている。

 しかも、レイズはレンフローと交換に、トミー・ファムをパドレスへ放出した。ファムが2019年に記録した出塁率.369は、レイズで最も高かった(21本塁打はチーム2位)。

 2019年のレイズは、ホームランこそ少なめながら、7位タイの769得点を挙げた。その要因の一つは、6位の出塁率.325だ。来シーズン、ホームランは増えても出塁率が下がれば、得点は減少しかねない。例えば、2019年のトロント・ブルージェイズは、12位の726得点。247本塁打は5番目に多かったが、出塁率.305は2番目に低かった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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