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雨天順延により、田中将大の登板が第5戦から第4戦になるのは、ヤンキースにとって「天の恵み」なのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)Oct 12, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月16日のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第4戦は、雨によって翌日に順延された。これに伴い、第5戦も17日から18日となる。もともと、18日はオフだったので、19日と20日の第6戦と第7戦――それまでにどちらかが4勝すれば行われない――は変わらない。

 ここまでのシリーズは、第1戦をニューヨーク・ヤンキースが制し、第2戦と第3戦はヒューストン・アストロズが勝った。

筆者作成
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 両チームとも、ディビジョン・シリーズを含め、このポストシーズンでは「4人目の先発投手」を起用していない。ヤンキースは、ジェームズ・パクストン田中将大ルイス・セベリーノ。アストロズは、ジャスティン・バーランダーゲリット・コールザック・グレインキー。いずれも、3人でローテーションを形成している。

 リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの3試合は、田中とグレインキーが第1戦の先発マウンドに上がり、第2戦はパクストンとバーランダー、第3戦はセベリーノとコールが投げ合った。第4戦は、中3日の「ショート・レスト」で第1戦と同じ2人ではなく、両チームとも「ブルペン・デー」とする予定だった。けれども、1日ずれたことにより、従来は第5戦に予定されていた田中とグレインキーが、中4日で第4戦に登板する。

 その後は、パクストンとバーランダーが当初の第6戦(中5日)から第5戦(中4日)に繰り上がる。第6戦は「ブルペン・デー」になりそう。セベリーノとコールの第7戦(中4日)はそのままだ。

 ヤンキースは、ポストシーズンで好投している田中が第4戦に投げることで、シリーズを2勝2敗の五分に戻すチャンスが高まった。ただ、そこで勝利を手にしても、田中が長いイニングを投げないと、不利な状況は続く。

 パクストンとセベリーノは、これまでのポストシーズン各2登板とも5イニング未満で降板し、その分、ブルペンに負担がかかっている。ポストシーズンの6試合で、先発投手は計26.1イニング、リリーフ投手は計28.2イニングだ(アストロズは8試合で、49.2イニングと22.1イニング)。雨天順延により、第4戦から第7戦までは4日連続となった。しかも、第6戦は「ブルペン・デー」だ。第4戦でリリーフ投手を休ませることができないと、疲労の蓄積が懸念される。なかでも、ザック・ブリットンアダム・オッタビーノは、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの3試合とも登板。ディビジョン・シリーズでも3試合すべてに投げたオッタビーノは、ここ2登板続けて得点を与えている。

 ヤンキースで第6戦の先発マウンドに立つのは、本来は先発投手のJ.A.ハップCC・サバシアかもしれないが、どちらもそう長いイニングは期待できない。ハップが6イニング以上を投げたのは、9月7日が最後。サバシアは7月22日以降、5イニング以上の登板がない。直近の先発登板は、それぞれ9月20日と18日だ。

 一方、第6戦のアストロズの先発投手は、ホゼ・ウッキーディが有力だが、第4戦と第5戦に連敗して王手をかけられた場合、コールが中3日で投げることもあり得る。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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