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トレードで獲得したリリーフ3投手が揃って乱調。結局、中継ぎに回された投手がクローザー再任!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
シェーン・グリーン(アトランタ・ブレーブス) Aug 4, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 この夏のトレードで、アトランタ・ブレーブスは、3投手をブルペンに加えた。7月30日にテキサス・レンジャーズからクリス・マーティンを手に入れ、その翌日にはデトロイト・タイガースとサンフランシスコ・ジャイアンツから、それぞれ、シェーン・グリーンマーク・マランソンを獲得した。

 ブレーブスのブルペンは、7月に入って急激に悪化した。6月末時点の防御率は両リーグ5位の3.81だったが、7月はワースト3位の月間防御率5.76を記録した。それに対し、移籍前の3人のシーズン防御率は、マーティンが3.08(4セーブ&12ホールド)、グリーンが1.18(22セーブ)、マランソンは3.50(1セーブ&5ホールド)。彼らの加入により、ブルペンは大幅に向上するはずだった。

 なかでも、グリーンの防御率は、カービー・イェーツ(サンディエゴ・パドレス)の1.02に次ぎ、救援20登板以上の投手では2番目に低かった。防御率3.96(17セーブ&3ホールド)のルーク・ジャクソンに代わるクローザーとして、期待されていた。

 ところが、グリーンは8月3日のブレーブス初登板でセーブに失敗すると、そこから3試合続けて失点。クローザーの座をマランソンに譲った。マランソンは移籍後の4登板を無失点に封じていたが、4点リードの9回裏から投げた8月10日は、1死後にヒット4本を続けて打たれて降板した。さらに、この試合では、マランソンと交代したグリーンも立ち上がりから打ち込まれ、同点に追いつかれた。マーティンも、移籍後の5登板中2試合で得点を許している。それも、2試合で計5失点だ。

 移籍してからの3人の防御率は、サンプル数が少ないとはいえ、いずれも9.80を上回る。ブレーブスが求めていたのとは、まったく逆の働きをしている。

 8月11日の試合で、1点リードの9回裏に投げたのは、グリーンでもマランソンでもなかった(マーティンは7回裏に登板)。ジャクソンがマウンドに上がり、セーブを挙げた。

 今後のクローザーが誰になるのかは、判然としない。約1ヵ月ぶりにセーブを記録したジャクソンも、そこでヒットを3本打たれた。ライトのロナルド・アクーニャJr.が走者を刺していなければ、同点に追いつかれるか、逆転されていたに違いない。しかも、8月10日も11日も、相手は地区最下位のマイアミ・マーリンズだった。

 グリーンが移籍前の調子を取り戻すか、マランソンが絶対的な守護神だった数年前の投球を(一時的にでも)再現するか、マーティンが北海道日本ハムファイターズにいた時のように好投するか。少なくともどれか一つは実現しないと、地区2位に6.5ゲーム差をつけているとはいえ、安心はできないし、ポストシーズンにたどり着けたとしても、勝ち進むのは難しそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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