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1シーズンに2度、同じ投手が「トリプル・プレー」でピンチを脱出

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、M.ペレス、M.サノー、J.ポランコ Aug 7, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月7日、ミネソタ・ツインズの内野陣が、トリプル・プレーを記録した。3回表に3点を奪われ、なおも無死満塁の場面で、三塁手のミゲル・サノーがゴロを捕球して三塁を踏み、サノーの送球を受けた二塁手のジョナサン・スコープが、一塁手のC.J.クロンへ転送した(写真はその直後)。7月22日にも、ツインズは5-4-3のトリプル・プレーを成立させている。どちらの時も、マウンドにはマーティン・ペレスがいた。

 ただ、トリプル・プレーでピンチを切り抜けたことが、2度以上ある投手は少なくない。21世紀に限っても、ペレスは4人目だ(SABRのデータベースから2001年以降を抽出し、投手が記されていないトリプル・プレーについては、各試合のボックス・スコアで調べた)。なかでも、CC・サバシア(ニューヨーク・ヤンキース)は3度を数える。サバシアは2001年にデビューし、今もなお現役投手だ(今シーズン限りで引退する)。

 また、サバシアのトリプル・プレーはそれぞれ別のシーズン、2010年、2013年、2014年だが、マーク・バーリーは2006年に2度、ザック・デイビーズ(ミルウォーキー・ブルワーズ)も2016年に2度だ。ペレスについて特筆すべき点は、スパンの短さだろう。バーリーは5月と9月、デイビーズは4月と9月だが、ペレスは17日間の4登板で2度記録した。

 もっとも、無死のまま2人以上の走者を背負わなければ、トリプル・プレーが生まれることはない。ペレスのシーズン防御率は4.80、WHIPは先発投手リーグ・ワースト5位の1.43だ。WHIPは、与四球(ウォーク=W)と被安打(ヒット=H)の合計をイニング(IP)で割ったもの。1イニングに平均何人を出塁させたかを表す。

 ちなみに、ペレスが投げていた時のトリプル・プレーは、どちらも5-4-3ながら、内野陣はまったく同じではなかった。二塁手のスコープと、プレーに関わらなかった遊撃手のホルヘ・ポランコは共通するものの、1度目の三塁手はルイス・アライアスで、サノーは一塁を守っていた。

 バーリーが投げていた時のトリプル・プレー、3-4-6と5-4-4には、2度とも井口資仁が二塁手として関わった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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