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エースが出場停止80試合となったA'sは再び「寄せ集めのローテーション」を形成する!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
フランキー・モンタス(オークランド・アスレティックス)May 10, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現在、オークランド・アスレティックスは41勝38敗を記録している。この勝敗は、昨シーズンの79試合を終えた時点とまったく同じ。昨シーズンはワイルドカードの2番手まで7ゲーム差だったのに対し、今シーズンは2ゲームしか離されてない。昨シーズン、アスレティックスは97勝を挙げ、ワイルドカードの2番手として、4年ぶりにポストシーズンへ進出した。

 けれども、今シーズンは大誤算が発生した。防御率2.70と開花した26歳のフランキー・モンタスが、オスタリンの陽性反応により、6月21日に80試合の出場停止を科された。処分が明けて復帰できるのは、シーズンの終わり近く。そこからの登板は、多くても2試合にとどまる。アスレティックスで防御率4.00未満の先発投手は、モンタスを除くと、3.64のクリス・バシットだけだ。また、アスレティックスがポストシーズンへ進んでも、モンタスはそこで投げることができない。

 昨シーズンの後半戦は、寄せ集めと呼びたくなるようなベテランたちが、ローテーションを支えた。後半戦に9先発以上した4人は、スプリング・トレーニングが始まった時点では、いずれもチームにいなかった。トレバー・ケイヒル(現ロサンゼルス・エンジェルス)とブレット・アンダーソンは、3月後半にそれぞれ1年150万ドルとマイナーリーグ契約で入団。6月に加わったエドウィン・ジャクソン(現トロント・ブルージェイズ)も、マイナーリーグ契約だった。8月にトレードで加入したマイク・ファイヤーズにしても、他のコンテンダー・チームならローテーションの真ん中以降に位置する投手だ。ヒューストン・アストロズにいた2年前は、ポストシーズンのロースターに入れなかった。

 彼らのうち2人は、今シーズンもアスレティックスにいる。ファイヤーズとは昨年12月に2年1410万ドルで再契約を交わし、2月にアンダーソンも1年150万ドルで呼び戻した。ここから、安く手に入るベテランを加え、昨シーズンと似たようなローテーションを形成してもおかしくない。

 ただ、後半戦は、昨年9月に左肩の手術を受けたショーン・マネイアが戻ってくる予定だ。昨シーズン、マネイアはチーム最多の160.2イニングを投げ、防御率3.59を記録した。さらに、傘下のマイナーリーグには、プロスペクトの左腕2人、21歳のヘスス・ルザルドと24歳のA.J.パックがいる。どちらも開幕から欠場――パックは昨年4月にトミー・ジョン手術を受け、ルザルドは今年3月に左肩を痛めた――していたが、6月11日にA+の試合で揃ってマウンドへ戻り、最初の2イニングはパック、続く3イニングはルザルドが投げた。

 27歳のマネイアも同じく左腕で、3年前にメジャーデビューするまではプロスペクトと目されていた。昨シーズンのベテランたちとは打って変わって、今シーズンは若い3人の左腕が、後半戦のローテーションを支えるかもしれない。そうなれば、今秋のポストシーズンにたどり着けなかったとしても、来シーズンのローテーションには、モンタスを含め、20代の4人が揃う。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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