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野茂英雄に続き、アジア生まれ2人目のオールスター先発投手が誕生する!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヒョンジン・リュ(ロサンゼルス・ドジャース)Jun 16, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ヒョンジン・リュ(ロサンゼルス・ドジャース)が、快投を続けている。開幕から自責点3以上の試合は一度もなく、防御率は1.26。リーグ2位のマイク・スローカ(アトランタ・ブレーブス)とは、0.86の開きがある。防御率だけで決まるものではないとはいえ、今年のオールスター・ゲームで、リュはナ・リーグの先発投手としてマウンドに上がるだろう。故障に見舞われるか、前半戦最後の試合(7月7日)に投げれば別だが、現時点における最有力候補であることは間違いない。

 リュは、オールスター・ゲームに選ばれたことがない。選出されれば、韓国生まれの選手では、2001年のチャンホ・パク、2002年のビョンヒョン・キム、昨年のシンス・チュー(テキサス・レンジャーズ)に続く4人目となる。パクはオールスター・ゲームで2番手、キムは7番手として登板した。チューは野手だ。アジア生まれに枠を広げても、先発投手として投げたのは、1995年の野茂英雄しかいない。

 そもそも、アメリカ以外で生まれ、オールスター・ゲームに先発登板した投手は少ない。調べたところ、ドミニカ共和国が5人、メキシコが2人、キューバ、フランス、日本、ベネズエラが1人ずつだった。11人のうち、1984年にナ・リーグの先発投手を務めたチャーリー・リーは、アメリカ海軍にいた父がフランスに駐在していた時に生まれた。2度先発したのは、1965年と1967年のホアン・マリシャルだけだ。1965年のマリシャルと1999年のペドロ・マルティネスは、ゲームMVPに選ばれた。

筆者作成
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 一方、初めて選ばれたオールスター・ゲームで先発登板は、それほど珍しいことではない。11人のなかでは、6人がそう。直近の20試合(1999~2018年)は、延べ40投手中11人が初選出で、2003年、2010年、2013年は、初選出の2投手が先発として投げ合った。

 現在、ア・リーグ・ベストの防御率2.24を記録しているジェイク・オドリッジ(ミネソタ・ツインズ)も、リュと同じく、これまでオールスター・ゲームには選ばれていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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