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全体100位以内にドラフト指名権8つの球団は、それらをどのように得て、どう使ったのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
左からトーリ・ルベロ監督、平野佳寿、マイク・ヘイゼンGM Feb 12,2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 全体1位から100位までのドラフト指名権を30球団で割れば、1球団につき3つから4つとなる。けれども、現実はそうではない。アリゾナ・ダイヤモンドバックスは、今年のドラフトで、全体100位以内に8つの指名権を持っていた。これは、ピッツバーグ・パイレーツとタンパベイ・レイズよりも3つ多い。ミルウォーキー・ブルワーズとフィラデルフィア・フィリーズ、ワシントン・ナショナルズの指名権は2つずつなので、3球団を合わせてもDバックスに及ばない。2巡目が始まる前の全体41位までに限っても、Dバックスには指名権が4つあり、こちらも他球団を上回る。

 Dバックスの指名権8つのうち、全体16位、56位、93位は通常のものだ。それぞれ、1、2、3巡目に位置する。全体26位(1巡目)の指名権は、前年に契約できなかった選手の代わりに得た。昨年のドラフトで、Dバックスが全体25位で指名した高校生の内野手、マット・マクレインは、入団せずに大学へ進んだ。アトランタ・ブレーブスが全体9位の指名権を持っていたのも、同じ理由だ。昨年、ブレーブスは全体8位でカーター・スチュワート(現・福岡ソフトバンクホークス)を指名した。

 また、昨オフ、Dバックスがクオリファイング・オファーを申し出た2選手は、いずれも他球団へ去った。パトリック・コービンはナショナルズ、A.J.ポロックはロサンゼルス・ドジャースと契約した。それにより、Dバックスは1巡目の直後に位置する指名権を2つ手にした。これが、全体33位と34位だ。

 残る2つ、全体74位と75位の指名権は、2巡目の直後、戦力均衡ラウンドBに位置する。こちらは、市場規模が小さいか収入の少ない球団に与えられる指名権――戦力均衡ラウンドAは2巡目の直前――だが、トレードすることもできる。2つの指名権のうち後者は、昨年12月にポール・ゴールドシュミットをセントルイス・カーディナルスへ放出した際に、3選手とともに獲得した。

 Dバックスのマイク・ヘイゼンGMは、全体100位までに、投手5人(高校生2人、大学生3人)、外野手2人(高校生1人、大学生1人)、一塁手1人(大学生)を指名した。全体75位のトリスティン・イングリッシュは、大学で一塁を守るだけでなく、リリーフとしても投げている。

 最初の指名順がDバックスに回ってくる前に、他球団が指名した15人のなかに、投手は2人しかいなかった。全体10位以内の投手は、シンシナティ・レッズが7位で指名した、大学生のニック・ロドロだけだった。

 Dバックスが全体16位で指名したのは、高校生の外野手、コービン・キャロルだ。トップクラスの有望株という点では、投手よりも野手が多かったドラフトにおいて、残っていたトップクラスの野手を最初に指名し、その後は投手を集めたようにも見える。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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