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チームメイトが「1試合4本塁打」と「サイクルヒット」を同じ試合で達成

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヤズマニ・トマース Apr 22, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月20日、アリゾナ・ダイヤモンドバックス傘下のAAA、リノ・エイシーズの打者たちは、10本塁打を含む25安打を放ち、25点を挙げた。なかでも、特に打ちまくったのが「4番DH」のヤズマニ・トマースと「8番レフト」のマット・シーザーだ。2人合わせて12打数9安打、5本塁打、11打点。トマースは「1試合4本塁打」、シーザーは「サイクルヒット」を達成した。

 マイナーリーグについては不明ながら、同じ試合で「1試合4本塁打」と「サイクルヒット」は、メジャーリーグでは1度しかない。1932年6月3日に、ニューヨーク・ヤンキースのルー・ゲーリッグがホームランを4本打ち、チームメイトのトニー・ラゼリがサイクルヒットを達成した。この他には、チームメイト以外でも皆無だ。同じ日に違う試合という例もない。ちなみに、ゲーリッグとラゼリはどちらも殿堂入りしている。

 トマースもシーザーも、メジャーリーグの通算出場は300試合を超える。3年前、トマースはナ・リーグ9位タイの31本塁打を打った。シーザーは同じ年に、プレー以外でワールドシリーズ優勝に貢献した(それについては「本人は出場しなくても、そのバットと下着(!)がワールドチャンピオンをもたらした」で書いた)。2人とも、まだ20代だ。メジャーリーグで再びプレーするチャンスはあるはずだ。

 ただ、5月20日にエイシーズのラインナップに名を連ねた選手のうち、最も注目されているのは、トマースでもシーザーでもなく、「3番・一塁」のケビン・クロンだ。この日、クロンは2打席続けてホームランを打ち、42試合目にして21本に達した。すでに26歳ながらメジャーデビューはしておらず、ダイヤモンドバックスで内野の両コーナーを守るクリスチャン・ウォーカーエデュアルド・エスコバーはともに好成績を残しているが、この打棒からすれば、いつ昇格してもおかしくない。2試合にホームラン1本という驚異的な量産ペースだけでなく、クロンは打率.333と出塁率.433も記録している。

 彼の兄は、ミネソタ・ツインズの一塁手、C.J.クロンだ。彼らの父、クリス・クロンは、エイシーズで監督を務めている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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