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2人の外野手がホームランを「アシスト」。あのプレーとは次元が違うけれど

宇根夏樹ベースボール・ライター
マレックス・スミス(シアトル・マリナーズ)Apr 23, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 外野手によるホームランの「アシスト」が、3日間に2度起きた。

 4月21日、センターを守っていたデクスター・ファウラー(セントルイス・カーディナルス)は、頭上を抜けようかという打球を追っていき、ウォーニング・ゾーンでジャンプした。捕っていればファインプレーだが、ボールはグラブに当たって跳ね、フェンスを越えた。

 その2日後には、同じくセンターにいたマレックス・スミス(シアトル・マリナーズ)が、ファウラーに続いた(写真)。こちらの場合、映像で確認すると、ボールはいったんグラブに入ってから跳ねたように見える。

 ノア・シンダーガード(ニューヨーク・メッツ)とオースティン・ヘッジス(サンディエゴ・パドレス)が打ったボールは、「アシスト」がなければ、どちらもフェンスオーバーのホームランにはなっていなかった。26年前の「アシスト」もそうだ。けれども、このプレーは次元が違う。

 1993年5月26日、ライトを守っていたホゼ・カンセコは、右中間に飛んだ打球を追っていった。ウォーニング・ゾーンまで行ったのはファウラーやスミスと同じだが、ボールが当たったのは、カンセコが掲げたグラブではなかった。グラブには触れず、カンセコの頭に当たってフェンスを越えていった。

 カンセコにホームランを「アシスト」してもらったカルロス・マルティネスは、ホゼ・マルティネス(カーディナルス)の父だ。当時4歳だった息子は、26年後にファウラーが「アシスト」した時、その隣のライトにいた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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