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開幕5試合連続ホームランの新記録は作れなかったけれど…

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、イェリッチ、フィンガース、ヨーント、ブラウン Mar 28, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月1日、クリスチャン・イェリッチ(ミルウォーキー・ブルワーズ)はホームランを打てなかった。開幕から続けていたストリークは、4試合でストップ。ウィリー・メイズ(1971年)、マーク・マグワイア(1998年)、ネルソン・クルーズ(2011年/現ミネソタ・ツインズ)、クリス・デービス(2013年/ボルティモア・オリオールズ)、トレバー・ストーリー(2016年/コロラド・ロッキーズ)の5人と並ぶ、開幕からの最長タイ記録に終わった。

 それでも、イェリッチはこの日も勝利に貢献した。空振り三振、ライト・ライナー、一塁ゴロ、一塁ゴロに続いて迎えた5打席目。3対3の9回表2死走者なしから、センターの左へ弾き返し、打球は外野手の間を抜けなかったものの、イェリッチは二塁に達した。次打者のライアン・ブラウンが三塁線を破ると、勝ち越しのホームイン。その裏はジョシュ・ヘイダーが0点に抑え、ブルワーズは4勝目を挙げた。

 ブラウンの打球はレフトのフェンス際まで転がっていったが、イェリッチが一塁からスタートしていれば、ホームインできたかどうかは定かではない。昨シーズン、イェリッチはリーグ・ベストの打率.326とOPS1.000、3位の出塁率.402と36本塁打を記録し、MVPを受賞した。ただ、イェリッチは打つだけではなく、22盗塁を決めて4度しか刺されなかった。三塁打も7本打っている。4年ぶり2度目のゴールドグラブは逃したものの、ファイナリストの3人(ナ・リーグのレフト)に挙げられた。

 前日の試合では、初回に4試合連続となるホームランで先制点を挙げ、9回にはサヨナラ打となる二塁打も打った。最初の4試合の活躍により、イェリッチは今シーズン最初のプレーヤー・オブ・ザ・ウィーク(週間最優秀選手)に選ばれた。昨年9月から数えると、ナ・リーグは6週のうち半分の受賞者がイェリッチだ。

 まだかなり気が早いとはいえ、2年連続MVPに向け、イェリッチは好スタートを切った。ナ・リーグの連続受賞は、2008~09年のアルバート・プーホルス(当時セントルイス・カーディナルス/現ロサンゼルス・エンジェルス)が最後。ア・リーグでも、2012~13年のミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)から途絶えている。また、ブルワーズではロビン・ヨーントが2度受賞しているが、連続ではなく1982年と1989年だ。他には、ローリー・フィンガース(1981年)とブラウン(2011年)しか受賞していない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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