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今シーズンは2人の「二刀流選手」がメジャーリーグでプレー!? 大谷翔平は登板しないけれど

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイケル・ロレンゼン Sep 10, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)はDHとして打席に立つだけで、マウンドには上がらない。けれども、二刀流選手(2ウェイ・プレーヤー)としてプレーする予定のメジャーリーガーはいる。それも、1人ではなく2人だ。内野手のマット・デビッドソン(テキサス・レンジャーズ)はリリーフ投手を兼任し、投手のマイケル・ロレンゼン(シンシナティ・レッズ)は外野手を兼ねる。

 どちらも下地はある。デビッドソンは2年続けて20本塁打以上の一方で、昨シーズンは3試合に登板し、それぞれ1イニングを無失点に抑えた。ロレンゼンは81.0イニング(救援42試合と先発3試合)を投げて防御率3.11を記録し、打席では4本塁打――代打2本、登板時2本――を放った。8月には、1イニングながらライトの守備にもついている。これは、登板しなかった試合だ。打球は飛んでこなかったものの、この時もロレンゼンはヒットを打った。

 彼らについては、それぞれシーズン中に「大谷翔平がまだ達成していない二刀流のシーズン記録で、ベーブ・ルースに続く2人目が登場」「大谷翔平を上回る二刀流!? リリーフ投手が3打数続けてホームランを放ち、3本目はグランドスラム!!」でも紹介した。

 今春のスプリング・トレーニングで、デビッドソンは野手よりも早いバッテリーの集合日に姿を見せ、ロレンゼンは外野の守備練習と打撃練習にも参加している。今シーズン、レンジャーズとレッズは6月14~16日に顔を合わせる。2人は、投手と打者、打者と投手の両方で対戦するかもしれない。レッズのホーム・ゲームなので、DHはない。

 現時点で言えば、有望なのはロレンゼンの方か。デビッドソンは2009年のドラフトでホワイトソックスから全体35位指名を受け、高校からプロ入りした。その後は野手に専念し、マイナーリーグでは登板していない。プロ10年目の昨シーズン、初めてマウンドに上がった。一方、ロレンゼンは2013年に全体38位で指名され、大学からレッズへ入団。大学時代の打撃成績は、通算164試合で打率.324、出塁率.394、OPS.872。ホームランは11本とそう多くないが、二塁打は39本、三塁打は10本を数え、45盗塁も決めている。メジャーリーグでも、昨シーズンの打率.290(31打数9安打)&OPS1.043だけでなく、その前も投手としてはよく打ち、3シーズン(2015~17年)の合計で、打率.226(53打数12安打)&OPS.618、2本塁打を記録した。ちなみに、昨年9月に両投げ投手のパット・ベンディティーから打った際には、ピート・ローズばりのヘッド・スライディングで二塁に達した(写真)。

 また、ロレンゼンはロースターに入っているが、デビッドソンはマイナーリーグ契約のノン・ロースター・インバイティ(キャンプ招待選手)だ。

 なお、一塁手のジェームズ・ローニーも二刀流選手としてプレーするようだが、こちらはメジャーリーグではない。独立リーグのシュガーランド・スキーターズ――監督はピート・インカビリアだ――が、2月上旬に、投手&野手としてローニーと契約したことを発表した。ローニーは2006~16年にメジャーリーグで1443試合に出場したが、登板は2016年にAAAで1イニングだけ。デビッドソンとロレンゼンが20代であるのに対し、5月に35歳を迎える。投手と野手に加え、ローニーはコーチも務める。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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