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ワンポイント・リリーフが絶滅する!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
マーク・ゼプチンスキー Aug 25, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 MLB機構と選手会が、ルールの変更について話し合っている。ESPNのジェフ・パッサンによると、そのなかには、イニングを終わらせるか故障に見舞われない限り、投手は少なくとも3人の打者に対して投げる、という案もある。投手交代を減らし、試合時間を短縮するのが目的だ。

 このルールができれば、「LOOGY」は絶滅しかねない。これは、Lefty-One-Out-Guy(レフティ・ワン・アウト・ガイ)の略。左打者に対してワンポイントで起用される、左のリリーフ投手のことだ。

 昨シーズン、イニングが登板数より10.0以上少ない投手は29人いた。そのうち、マーク・ゼプチンスキーオリバー・ぺレスティム・コリンズジェリー・ブレビンスの4人は、最初の打者と対戦しただけで2人目を迎える前に交代した登板が、全体の30%以上を占めた。

筆者作成
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 なかでも、ゼプチンスキーは右打者を苦手とする。対右の被出塁率.400以上は、2013年から6年続いている。

筆者作成
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 今オフ、ペレスはクリーブランド・インディアンズと再契約を交わし、コリンズとブレビンスはマイナーリーグ契約ながら、それぞれミネソタ・ツインズとオークランド・アスレティックスに入団した。だが、ゼプチンスキーは昨シーズンの成績がキャリア・ワーストだったせいか、まだFAのままだ。1登板につき打者3人以上と決まれば、ゼプチンスキーと契約する球団は出てこない可能性もある。

追記:アリゾナ・ダイヤモンドバックスが、ゼプチンスキーとマイナーリーグ契約を結んだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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