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1シーズンに5チームで投げたジャーニーマンの旅は、オフに入っても続いている

宇根夏樹ベースボール・ライター
オリバー・ドレイク Jul 25, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 オリバー・ドレイクは、2018年にメジャーリーグ記録を作った。ミルウォーキー・ブルワーズ、クリーブランド・インディアンズ、ロサンゼルス・エンジェルス、トロント・ブルージェイズ、ミネソタ・ツインズの選手として投げ、野手を含め、1シーズンに5チームでプレーした史上初の選手となった。

筆者作成
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 1884年のハリー・ウィーラー以来とする説もあるが、ウィーラーがプレーした5チームのうち、シカゴ・ブラウンズはシーズン途中に移転(!)してピッツバーグ・ストーギーズとなったので、厳密には4チームとすべきだろう。

 いずれにせよ、1900年以降の1シーズン5チームは、ドレイクしかいない。これまでの最多は、8人が記録した4チームだった。直近の4人は、現ワシントン・ナショナルズ監督のデーブ・マルティネス(2000年)、2005年に読売ジャイアンツで投げたダン・ミセリ(2003年)、2010年代前半に最多の187本塁打を放ったホゼ・バティスタ(2004年)、2018年に北海道日本ハムファイターズでプレーしたオズワルド・アルシア(2016年)だ。

 シーズンが終わってからも、ドレイクは3度移籍している。11月1日にツインズからタンパベイ・レイズ、26日にレイズからブルージェイズへ。そして、年明け早々の1月4日にブルージェイズからレイズへ戻った。

 2017年4月にブルワーズへ移る前に、ドレイクはボルティモア・オリオールズ(2015~17年)でも登板している。このままレイズで投げれば――ここまでの目まぐるしい動きからすると、さらに移籍が繰り返されても不思議ではないが――メジャーリーグ5年目で7チーム目となる。

 8度の移籍は、いずれもその前に40人ロースターから外されている。それでも、獲得に乗り出すチームが絶えないのは、右打者に強いからだろう。2018年の成績を見ると、対左の被打率は.333で、打席に占める奪三振の割合も16.8%に過ぎないが、対右は.223と30.7%だ。ドレイクはスプリッターと4シームをほぼ半数ずつ投げ、わずかながらカーブも交える。

 なお、史上最も多くのチームでプレーしたのは、13チームで投げたオクタビオ・ドーテルエドウィン・ジャクソンだ。現在、ジャクソンはFAだが、まだ引退はしていない。チームはもっと増えるかもしれない。

 ジャクソンとドレイクは、どちらも2017年にオリオールズで投げた。だが、2人が同じチームに揃うことはなかった。ジャクソンがAAAから昇格したのは6月初旬。ドレイクはすでにオリオールズを去り、ブルワーズで投げていた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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