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ナックルボーラーに転身した元オリックス左腕や、メッツに入団した「ビフの息子」はその後どうなった?

宇根夏樹ベースボール・ライター
フィル・コーク AUGUST 28, 2014(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 あと少しで2018年が終わり、新たな年が始まる。その前に、今年紹介した選手たちが、その後どうなったのかを追いかけてみた。今回は投手編だ。

 2017年にオリックス・バファローズで6登板したフィル・コークは、ナックルボーラーとしてメジャーリーグ復帰を試みた(「前オリックスの左腕がナックルボーラーに転向してMLB復帰をめざす」)。3月下旬にメキシカン・リーグのアセレロス・デ・モンクローバと契約し、6先発で防御率6.49。5月上旬に解雇され、その後は投げていない。36歳と若くはないものの、再びチャレンジしてほしいものだ。

 一方、ジョニー・ベンタースは4月下旬に「2度半のトミー・ジョン手術を経て、6年ぶりにメジャーリーグへ復帰」した。50登板で防御率3.67を記録し、カムバック賞を受賞。7月下旬に古巣のアトランタ・ブレーブスへ移り、来シーズンもブレーブスのユニフォームを着て投げる。

 6月のドラフトでニューヨーク・メッツに指名されたトミー・ウィルソン――と言ってもわからないだろうが「ビフの息子」――も、いいシーズンを過ごした(「「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場する名悪役の息子がメッツに入団」)。A-でリリーフとして11試合に投げ、防御率1.23。キャリアはまだ始まったばかりだが、自身の投球によってスポットライトを浴びる日が来るかもしれない。

 同じくメッツのジェイコブ・デグローム「防御率1点台の負け越し投手が、108年ぶりに誕生か。サイ・ヤング賞の行方は?」で書いた、防御率1点台の負け越し投手にはならなかった。9月半ばの時点では8勝9敗だったが、防御率1点台のまま、最後の2登板で2勝を挙げて10勝9敗と勝ち越し、サイ・ヤング賞を手にした。また、「防御率1点台の投手が両リーグに揃えば、これは何年ぶり?」でデグロームとともに紹介したブレイク・スネル(タンパベイ・レイズ)も、防御率1点台をキープ。こちらも、サイ・ヤング賞に選ばれた。

 7月下旬にニューヨーク・ヤンキースへ移ったJ.A.ハップは、移籍6登板目に白星を挙げられず、「ヤンキースに加入した左腕が打ち立てた、ベーブ・ルース以来の記録」を伸ばすことはできなかったが、黒星を喫することなくシーズンを終えた(チームは9勝2敗。ハップはディビジョン・シリーズ第1戦で負け投手に)。移籍前の防御率4.18に対し、移籍後は2.69。FAとなったハップは、2年3400万ドルでヤンキースと再契約を交わした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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