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データが示す大谷翔平の「打球」。平均初速は332人中11位、フライとラインドライブに限れば3位

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Sep 15, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 スタットキャストによると、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)が放った打球の平均初速は92.6マイル(約149.0km)だった。150打球以上の332人中、11位に位置する。この場合の打球は、フェアのすべてとファウルのアウトとエラーを指す。大谷の打球の50.2%(113/225)は、初速95マイル以上(約152.9km)の「ハード・ヒット(強い打球)」。こちらも11位だ。それぞれの打球を見ていくと、95マイル以上が115、95マイル超えは111なので、どちらにしても計算は合わないものの、打球の約半分がハード・ヒットであることに変わりはない。

 フライとラインドライブの打球に限れば、大谷の平均初速は97.8マイル(約157.4km)となる。ライアン・ジマーマン(ワシントン・ナショナルズ)と――さらに細かい数値は違うかもしれないが――並び、彼らの上には、ともに99.7マイル(約160.4km)のジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)とジョーイ・ギャロ(テキサス・レンジャーズ)しかいない。

 大谷の打球の平均飛距離180フィート(約54.9m)はトップ100に入らないが、ホームランの平均飛距離413フィート(約125.9m)は13位だ(22本塁打中20本の平均。2本は飛距離が出ていない)。

「バレル」においても、大谷は高い数値を記録している。これは、打球の「初速」と「角度」の組み合わせのうち、過去のデータから打率.500&長打率1.500以上となるものの総称だ。具体的には、MLB.comのこちらにバレルの範囲を表した図がある。大谷の場合、バレルが打球の16.0%(36/225)を占める。この割合は8番目に高かった。

 ちなみに、平均初速のトップは94.7マイル(約152.4km)のアーロン・ジャッジ(ヤンキース)、ワーストは79.4マイル(約127.8km)のビリー・ハミルトン(シンシナティ・レッズ)だった。ジャッジはハード・ヒット54.1%もトップ、ハミルトンはハード・ヒット8.5%とフライ&ラインドライブの平均初速83.1マイル(約133.7km)もワーストで、それぞれ、12%未満と85マイル(136.8km)未満は他に誰もいなかった。

 平均飛距離のトップは231フィート(約70.4m)のマット・カーペンター(セントルイス・カーディナルス)、ワーストは118フィート(約36.0m)のエリック・ホズマー(サンディエゴ・パドレス)だ。

 ホームランの平均飛距離はコロラド・ロッキーズの2人、クリス・アイアネッタトレバー・ストーリーが421フィート(約128.3m)でトップ2に位置し、わずかながらアイアネッタが上回る。ただ、アイアネッタの11本塁打に対し、ストーリーは37本(うち2本の飛距離が出ていない)。また、ストーリーが9月5日に3打席続けて打った本塁打の2本目は、505フィート(約153.9m)を記録し、スタットキャスト史上(2015年~)最長のホームランとなった。これまでの最長は、2016年8月6日に、当時マイアミ・マーリンズのスタントンが記録した504フィート(約153.6m)。500フィート(約152.4m)以上のホームランはこの2本しかなく、どちらも球場はクアーズ・フィールドだ。

 一方、ホームランの平均飛距離が最も短かったのは、342フィート(約104.2m)のローセル・ヘレーラ(カンザスシティ・ロイヤルズ)だが、今年4月にメジャーデビューしたヘレーラは、まだ1本しかホームランを打っていない。今シーズン、5本塁打以上の選手では、トニー・ケンプ(6本/ヒューストン・アストロズ)の平均361フィート(約110.0m)が最短だった。

 バレルの割合はギャロの22.5%が最も高く、ディー・ゴードン(シアトル・マリナーズ)の0.2%が最も低かった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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