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日米野球史上、最も実績の乏しい選手!? メジャーリーグ出場は6試合

宇根夏樹ベースボール・ライター
右から3人目が、スコット・バーロー(カンザスシティ・ロイヤルズ)(写真:Shutterstock/アフロ)

 日米野球には、途中から合流する前田健太(ロサンゼルス・ドジャース)を含め、29人のメジャーリーガーが参加する。そのなかには、今シーズンにメジャーデビューした選手も3人いる。20歳のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)とホアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)、そして、最後に追加となった25歳のスコット・バーロー(カンザスシティ・ロイヤルズ)がそうだ。

 3人のうち、アクーニャとソトは、ウォーカー・ビューラー(ドジャース)とともにナ・リーグ新人王のファイナリスト(1~3位)となっている。おそらく、ビューラーは3位に終わり、2人のどちらかが受賞するだろう。

 だが、バーローがメジャーリーグで登板したのは、わずか6試合だ。いずれもリリーフとして計15.0イニングを投げ、防御率3.60を記録した。もしかすると、日米野球史上、最も実績の乏しい選手かもしれない。ちなみに、今回だけでなく2014年の来日メンバーにも、通算出場10試合未満は他にいない。バーローに次いで少ないのは、2014年の日米野球に参加した和田毅(現・福岡ソフトバンクホークス)の13先発(当時)だが、言うまでもなく、和田はその前に日本プロ野球で実績を築いている。

 そもそも、バーローはドラフト順位もそう高くなく、2011年の6巡目・全体194位だった。2017年までロサンゼルス・ドジャース傘下のマイナーリーグで過ごした後、FAとなってロイヤルズと契約。今シーズン、マイナーリーグの3クラスでは、計16登板(13先発)で防御率5.37(53.2イニング)を記録した。マイナーリーグではイニングを上回る数の三振を奪い、メジャーリーグの奪三振もイニングと同数だが、スタットキャストによると、メジャーリーグで投げた4シームの平均球速は90.6マイルに過ぎない。変化球は、スライダー、カーブ、チェンジアップを投げる。

 MLB.comのジェフリー・フラナガンは、来シーズンのローテーション5番手を争う一人にバーローを挙げているが、再建中のチームの5番手である上、バーロー以外にも5人の名前を出している。フラナガンが可能性の高い順に書いているなら、バーローは6人中5番目だ。

 もし、バーローがこれからブレイクすれば、日米野球で投げる姿は、無名時代の貴重なものとなる。一方、このまま消えていった場合は、日米野球で来日した選手のトリビアになるだろう(前者を期待したい)。2014年の来日メンバーのうち、ホゼ・ベラスは翌年以降にメジャーリーグでプレーすることなく、選手生活に別れを告げた。ただ、来日当時のベラスは34歳。それまでに、メジャーリーグで440試合に登板した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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