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対左と対右の差が大きかった打者は? 大谷翔平の打率は対左右で91ポイント違い「左<右」の4位

宇根夏樹ベースボール・ライター
C.ビヤヌウェイバとE.ホズマー(間はT.ジャンコウスキー)May 5,2018(写真:ロイター/アフロ)

 今シーズン、左投手と右投手に対し、どちらもそれぞれ100打席以上の打者は245人いた。そのうち、対左右の打率が最もかけ離れていたのは、クリスチャン・ビヤヌウェイバ(サンディエゴ・パドレス)だ。対左は.336、対右は.189。その差は147ポイント(1割4分7厘)もあった。

筆者作成
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 ビヤヌウェイバとは逆に、対左の打率が対右より低かった「左<右」の打者では――ビヤヌウェイバとチームメイトというのは偶然だろうが――エリック・ホズマーの116ポイント(1割1分6厘)差が最も大きかった。ただ、昨シーズンまでのホズマーは、対左右にここまで極端な違いはなく、昨シーズンは右投手を打率.335とよく打ったのに加え、左投手に対しても.284を記録した。先月、「最も打率が上がった選手、最も打率が下がった選手。ア・リーグ首位打者は上昇幅もトップ。前年と同じは2人」で紹介したように、ホズマーは前年から最も打率が下がった打者だ。

 ルーキーのビヤヌウェイバについては、左投手は打てるが右投手は打てないのか、たまたまそうだっただけなのか、まだ判断はしかねる。この傾向が続くようであれば、レギュラー定着は難しく、よくても対左用のプラトーン要員にとどまるだろう。

 ホズマーほどではないものの、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)も対左右の打率はかなり異なり、91ポイント(9分1厘)の差は「左<右」の4番目に位置する。さらに、大谷のOPS(出塁率+長打率)は対左右で389ポイント違い、こちらはホズマーの302ポイント差を凌ぎ、「左<右」のトップだ。「左>右」を含めても、ビヤヌウェイバの544ポイント差に次ぐ。

筆者作成
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 もっとも、245人中、対左のOPSが大谷より低かった打者は62人を数え、対左の打率も大谷の下に53人いる。一方、対右のOPSが大谷より高かったのは、1.118のマイク・トラウト(エンジェルス)と1.051のJ.D.マルティネス(ボストン・レッドソックス)だけだ。対右の打率も、上には10人しかいない。大谷が左投手をあまり打てなかったのは事実だが、対左右の著しい差は、むしろ、右投手をよく打っていたことに起因する。また、大谷は左投手に対し、6月上旬に故障者リストへ入るまでは打率.143(28打数4安打)とOPS.451だったが、7月上旬に復帰してからは.254(71打数18安打)と.734を記録した。

 なお、対左右の打率の差が最も小さかったのは、厳密に同じではないが、どちらに対しても打率.309のフレディ・フリーマン(アトランタ・ブレーブス)だ。OPSの差は、アダム・デュボール(シンシナティ・レッズ/ブレーブス)の2ポイントが最小。対左が.637、対右は.639だった。ムーキー・ベッツ(レッドソックス)は対左右とも打率.330とOPS1.030を上回り、クリス・デービス(ボルティモア・オリオールズ)は対左と対右のいずれも、打率.180とOPS.560を下回った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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