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同じチームで10セーブずつ挙げた2人が、同じ日にそれぞれ新たな道へ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブラッド・ジーグラー Jul 8, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズンのマイアミ・マーリンズでは、ブラッド・ジーグラーカイル・ベアクロウが、それぞれ10セーブを挙げた。

 2人とも、来シーズンのマーリンズにはいない。ベアクロウは10月10日に、ワシントン・ナショナルズへ放出された。7月末にアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移ったジーグラーも、FAにはなるが、再びマーリンズへ戻ってくることはない。ベアクロウのトレードと同じ日、39歳の誕生日に、引退の声明文をツイッターにアップした。

 そのなかで、ジーグラーはフェイバリット・モーメンツをいくつか挙げている。その一つにはこうある。「通算100セーブ到達―10年前には誰もこうなることを予想していなかった」5月11日の試合で、ジーグラーはベアクロウからマウンドを引き継ぎ、100セーブ目を挙げた。

 ジーグラーが2008~18年に記録した通算739登板(0先発)と救援717.1イニングは、このスパンではどの投手よりも多い。今シーズンも、両リーグ最多の82試合に登板した(救援73.2イニングは19位)。通算防御率2.75に対し、今シーズンは3.91だが、ゴロ率は依然として高く、その気であれば、まだ投げ続けられただろう。

 一方、28歳のベアクロウは、三振を奪う力こそあるものの、制球難が解消できていない。与四球率は4年続けて5.10を超え、2015~18年の通算与四球134は、デリン・ベタンセス(ニューヨーク・ヤンキース)の138に次ぎ、リリーフ投手のなかで2番目に多い。ベタンセスはこのスパンに283.1イニングを投げているが、ベアクロウは218.2イニングだ。

 ベアクロウの通算セーブは11。ジーグラーよりも94セーブ少ない。ナショナルズにはショーン・ドゥーリトルがいるので(来シーズンの契約は600万ドルの球団オプションだが、ナショナルズは行使して残留させるはずだ)、ベアクロウは来シーズンも、セットアッパーとして開幕を迎えることになりそうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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