８月４日、コリー・クルーバー（クリーブランド・インディアンズ）が「マダックス」を記録した。

「マダックス」とは、先発投手による100球未満の完封（９イニング以上）を指す。今から６年前に、ベースボール・ライターのジェイソン・ルークハートが提唱した。名称は、グレッグ・マダックスに由来する。

　どの試合でも投球数をカウントするようになった1988年以降、最も多くの「マダックス」を記録しているのは、他ならぬマダックスだ。その数は群を抜き、２位のゼイン・スミス（７度）と３位のボブ・テュークスベリー（６度）を合計したのと同じ、13度に及ぶ。

　現役投手では、バートロ・コローン（テキサス・レンジャーズ）とジェームズ・シールズ（シカゴ・ホワイトソックス）の４度が最も多い。コローンはメジャーリーグ21年目の45歳、シールズは13年目の36歳だ。また、クレイトン・カーショウ（ロサンゼルス・ドジャース）は現役最多の15完封を記録しているが、そのなかに「マダックス」は１度しかない。

　今のところ、「マダックス」でマダックスを上回る投手が出てくる可能性は、ほとんどなさそうだ。

　クルーバーの「マダックス」は４年ぶり２度目。今シーズンはクルーバー以外に、ジェームズ・パクストン（シアトル・マリナーズ）が記録している。５月８日に99球でノーヒッターを達成した。トレバー・ウィリアムズ（ピッツバーグ・パイレーツ）は７月23日にクルーバーと投げ合い、84球で完封を記録したが、この試合は雨のために７回以降は行われなかったので、「マダックス」ではない。

　ちなみに、日本人投手による「マダックス」は、昨年４月の田中将大（ニューヨーク・ヤンキース）が３度目だ。ルークハートが提唱する前だが、2005年６月に大家友和、2008年７月に黒田博樹が記録している。