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「ファイヤー・セール」を実施した球団のなかで、それに背を向けたベテランがいた

宇根夏樹ベースボール・ライター
アダム・ジョーンズ(左)とジョナサン・スコープ Mar 14, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 人数という観点からすれば、ボルティモア・オリオールズは今夏のトレード市場で最大の「ファイヤー・セール」を実施した。オールスター・ゲームが終わってからトレード・デッドラインまでに、レギュラー内野手2人、先発投手1人、救援投手3人の計6人を売り払い、交換に15人を得た。この人数は、放出も獲得も、他の球団を上回る。

 だが、オリオールズが売れなかった選手もいた。アダム・ジョーンズだ。売ろうとしなかったのではない。ジョーンズはシーズン終了後にFAとなる。

 獲得に興味を示していた球団もいくつかあったようだが、ジョーンズが「10&5(テン・アンド・ファイブ)」の権利を行使した――あるいは行使するとオリオールズに伝えていた――らしい。10年以上のメジャーリーグ在籍期間を持ち、直近の5年以上を同じ球団で過ごしている選手は、トレードを拒否できる。ジョーンズは2008年2月にシアトル・マリナーズからトレードされて以来、ずっとオリオールズでプレーしてきた。

 8月に入っても、ウェーバーを経由してトレードは行われる。再びトレードの話が持ち上がった際、ジョーンズは今度も拒むのか。獲得に乗り出す球団が異なれば、トレードを受け入れる可能性は皆無ではないだろう。トレード・デッドラインの前と同じ球団でも、状況が変わっていることもあり得る。最初は控えやプラトーン要員としてジョーンズの獲得を希望していたが、その後、レギュラーの外野手が長期欠場となった場合などだ。

 過去3度の偶数年において、ジョーンズはいずれもポストシーズンに出場している。ただ、ワールドシリーズはまだ経験していない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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