「ファイヤー・セール」を実施した球団のなかで、それに背を向けたベテランがいた
人数という観点からすれば、ボルティモア・オリオールズは今夏のトレード市場で最大の「ファイヤー・セール」を実施した。オールスター・ゲームが終わってからトレード・デッドラインまでに、レギュラー内野手2人、先発投手1人、救援投手3人の計6人を売り払い、交換に15人を得た。この人数は、放出も獲得も、他の球団を上回る。
だが、オリオールズが売れなかった選手もいた。アダム・ジョーンズだ。売ろうとしなかったのではない。ジョーンズはシーズン終了後にFAとなる。
獲得に興味を示していた球団もいくつかあったようだが、ジョーンズが「10&5(テン・アンド・ファイブ)」の権利を行使した――あるいは行使するとオリオールズに伝えていた――らしい。10年以上のメジャーリーグ在籍期間を持ち、直近の5年以上を同じ球団で過ごしている選手は、トレードを拒否できる。ジョーンズは2008年2月にシアトル・マリナーズからトレードされて以来、ずっとオリオールズでプレーしてきた。
8月に入っても、ウェーバーを経由してトレードは行われる。再びトレードの話が持ち上がった際、ジョーンズは今度も拒むのか。獲得に乗り出す球団が異なれば、トレードを受け入れる可能性は皆無ではないだろう。トレード・デッドラインの前と同じ球団でも、状況が変わっていることもあり得る。最初は控えやプラトーン要員としてジョーンズの獲得を希望していたが、その後、レギュラーの外野手が長期欠場となった場合などだ。
過去3度の偶数年において、ジョーンズはいずれもポストシーズンに出場している。ただ、ワールドシリーズはまだ経験していない。