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グリエル弟がシューレス・ジョーを追い抜いた。11試合連続マルチ・ヒットの新人記録を樹立

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルルデス・グリエルJr.(トロント・ブルージェイズ)Jul 23, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 脳震盪DLとオールスター・ブレイクを挟み、ルルデス・グリエルJr.(トロント・ブルージェイズ)がマルチ・ヒット・ゲーム(複数安打試合)を継続している。7月11日から29日まで、11試合続けてそれぞれ2安打以上を打った。

 SABR(アメリカ野球学会)の記録委員会によると、マルチ・ヒットを10試合以上続けたのはグリエルが29人目(延べ32度目)だ。1900年以降では14人目(延べ15度目)となる。2002年のバーニー・ウィリアムズ(10試合)を最後に、グリエルまでは途絶えていた。11試合以上の連続となると、1973年のトニー・ぺレス(11試合)以来45年ぶりだ。

 グリエルは、トニー・フェルナンデスが1986年に作った球団記録(9試合)を塗り替え、シューレス・ジョー・ジャクソンが1911年に打ち立てたメジャーリーグのルーキー記録(10試合)も更新した。「エイトメン・アウト」や「フィールド・オブ・ドリームス」でも描かれているとおり、シューレス・ジョーはワールドシリーズの八百長「ブラックソックス・スキャンダル」に加わったとされ、永久追放になった伝説の選手だ。1900年以降、キャリアで2度、10試合以上続けてマルチ・ヒットを打った(2度目は1912年の11試合連続)のは、彼しかいない。

 7月29日に3本目のヒットを打ったグリエルは、二塁でアウトになった際に左の膝と足首を痛め、試合から退いた。ストリークは一時中断となるかもしれないが、復帰後、さらに伸ばす可能性もある。現時点の11試合連続は歴代6位タイ。1900年以降に限れば、上には2人、1923年のロジャース・ホーンズビー(13試合)と1935年のビリー・ハーマン(12試合)しかいない。1890年にチャールズ・カウント・コンポーが記録した歴代最長の15試合連続にも、あと4試合まで近づいている。

 ちなみに、兄のユリ・グリエル(ヒューストン・アストロズ)の連続マルチ・ヒット・ゲームは、3度記録した4試合が最長だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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