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エースのトレード放出は、この球団のお約束。先代の3人に続いて4人目もそうなる?

宇根夏樹ベースボール・ライター
左からC.アーチャー、B.スネル、J.ファリア Mar 30, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 この夏、クリス・アーチャー(タンパベイ・レイズ)も同じ道をたどるのだろうか。

 レイズはこれまで、デビルレイズ時代を含め、アーチャーの前に開幕投手を務めた10人のうち8人を、トレードで放出している。なかでも、最近の3人、スコット・キャズミアージェームズ・シールズ(現シカゴ・ホワイトソックス)、デビッド・プライス(現ボストン・レッドソックス)のトレードは、いずれも同じ図式だ。エースに育った(あるいは育てた)投手を売り、複数のプロスペクトを得る――。こう表現していいだろう。

筆者作成
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 3人とも、メジャーデビューしたのはデビルレイズ/レイズだ。シールズとプライスと違い、キャズミアーは生え抜きではないが、ビクター・ザンブラーノを放出したトレードで獲得した当時は、まだマイナーリーガーだった。少なくとも2度の開幕戦に先発し、在籍中にオールスター・ゲームに選出された点も、3人は共通する。彼らの前の開幕投手3人、ジョー・ケネディ、ザンブラーノ、デウォン・ブラゼルトンも、メジャーデビューはデビルレイズだが、オールスター・ゲームには選ばれていない。

 キャズミアー、シールズ、プライスの共通項は、アーチャーにもそっくり当てはまる。2012年にレイズからメジャーデビューし、ここ4年とも開幕投手を務め、2015年と2017年はオールスター・ゲームに選出された。アーチャーは2011年1月のトレードで、シカゴ・カブスからレイズへ移ってきた。この時にレイズが放出したマット・ガーザは、在籍した3シーズンとも、30先発&防御率3点台を記録した。

 2016年のオフに「21世紀2人目の「20敗投手」を辛うじて免れた右腕が、ストーブリーグでは大人気」で書いたとおり、アーチャーは以前から放出が噂されてきた。球団オプションを行使すれば2021年まで保有でき、そうしても向こう3年で2750万ドルしかかからないので、レイズとしては売り急ぐ必要はない。ただ、今秋のポストシーズン進出は厳しい上、キャズミアー、シールズ、プライス、アーチャーに続くエースは、すでに現れている。ブレイク・スネルがブレイク――これは駄洒落ではない――し、リーグ3位の防御率2.27を記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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